右大脳半球損傷患者における談話特徴と認知機能の関連性の検討

右大脳半球損傷(RHD)患者の談話特徴を明確にするために健常者と比較するとともに,RHD 患者における認知機能障害と談話の関連性について検討した。対象はRHD 患者群51 名(男性28 名,女性23 名,68.2 ± 9.1 歳)と健常群50 名(男性25 名,女性25 名,66.6 ± 4.6 歳)の2 群(全員右手利き)である。SLTA「まんがの説明」口頭表出課題を両群に実施,設定した34 の談話分析項目についての群間比較では,RHD 群において冗長性や命題表出の不足など情報伝達効率の低下を認めた。また,RHD 患者から得られた神経心理学的検査の結果を用いて因子分析を行ったところ,5 因子...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in高次脳機能研究 (旧 失語症研究) Vol. 29; no. 1; pp. 49 - 59
Main Authors 前田, 眞治, 市川, 勝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本高次脳機能学会 31.03.2009
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1348-4818
1880-6554
DOI10.2496/hbfr.29.49

Cover

More Information
Summary:右大脳半球損傷(RHD)患者の談話特徴を明確にするために健常者と比較するとともに,RHD 患者における認知機能障害と談話の関連性について検討した。対象はRHD 患者群51 名(男性28 名,女性23 名,68.2 ± 9.1 歳)と健常群50 名(男性25 名,女性25 名,66.6 ± 4.6 歳)の2 群(全員右手利き)である。SLTA「まんがの説明」口頭表出課題を両群に実施,設定した34 の談話分析項目についての群間比較では,RHD 群において冗長性や命題表出の不足など情報伝達効率の低下を認めた。また,RHD 患者から得られた神経心理学的検査の結果を用いて因子分析を行ったところ,5 因子が抽出された。これらのうち,遂行機能やワーキングメモリ・注意機能,および一般的な知識や語彙の意味処理に関する因子は,情報伝達効率に関する談話分析項目と相関がみられた。RHD に起因するコミュニケーション面の障害像を把握するためには,これらの認知機能障害を詳細に評価することが必須であると考えられた。
ISSN:1348-4818
1880-6554
DOI:10.2496/hbfr.29.49