IgG4陽性形質細胞の集簇を認めた鼻腔底Reactive lymphoid hyperplasia症例

Reactive lymphoid hyperplasia(RLH)は,組織学的に胚中心を伴うリンパ濾胞の反応性過形成を示し,個々のリンパ球の異型が少なくpolyclonalな増殖を認めるものと定義される。今回我々は,IgG4陽性形質細胞の集簇を認めた鼻腔底RLHの一例を経験した。症例は69歳女性。主訴は左鼻腔腫瘤,右難聴。右難聴で近医受診した際に,左鼻腔底前方に隆起性病変を認めた。唾液腺腫脹や鼻症状は認めなかった。IgG4値は45.5mg/dlと正常範囲内であった。2度の生検を施行し悪性リンパ腫の可能性も否定できず,摘出術を施行した。病理組織所見は,HE染色では,粘膜上皮下に著明なリンパ球・...

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Published in日本鼻科学会会誌 Vol. 56; no. 4; pp. 619 - 624
Main Authors 檜垣, 貴哉, 野山, 和廉, 安藤, 翠, 岡野, 光博, 西﨑, 和則, 大道, 亮太郎, 折田, 頼尚, 平田, 裕二, 假谷, 伸, 佐藤, 康晴, 金井, 健吾, 春名, 威範, 小山, 貴久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本鼻科学会 2017
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ISSN0910-9153
1883-7077
DOI10.7248/jjrhi.56.619

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Summary:Reactive lymphoid hyperplasia(RLH)は,組織学的に胚中心を伴うリンパ濾胞の反応性過形成を示し,個々のリンパ球の異型が少なくpolyclonalな増殖を認めるものと定義される。今回我々は,IgG4陽性形質細胞の集簇を認めた鼻腔底RLHの一例を経験した。症例は69歳女性。主訴は左鼻腔腫瘤,右難聴。右難聴で近医受診した際に,左鼻腔底前方に隆起性病変を認めた。唾液腺腫脹や鼻症状は認めなかった。IgG4値は45.5mg/dlと正常範囲内であった。2度の生検を施行し悪性リンパ腫の可能性も否定できず,摘出術を施行した。病理組織所見は,HE染色では,粘膜上皮下に著明なリンパ球・形質細胞の浸潤を認め,リンパ濾胞の過形成を伴っていた。免疫染色では,濾胞間に多数のIgG4陽性形質細胞を認め,400倍1視野あたり100個を超え,IgG4/IgG陽性細胞比は40%を超えていた。しかし,線維化の所見や高IgG4血症を認めず,包括診断基準に照らしIgG4関連疾患には合致しなかった。摘出後,約1年を経過するが,再発所見を認めていない。今後,病変の再発や悪性転化する可能性も考えられることから,治療後も厳重な経過観察を行う必要があると考えられる。
ISSN:0910-9153
1883-7077
DOI:10.7248/jjrhi.56.619