Octreotide/etilefrine/OK-432併用療法にて治癒した食道癌術後乳糜胸の1例
症例は68歳の女性,胸部食道癌に対し,食道癌根治術を行った.術後13日目より多量の胸水貯留を認め,乳糜胸と診断した.胸腔ドレナージを施行し,完全静脈栄養を開始,利尿剤やアルブミン製剤を投与するも胸水量の減少を認めなかったため,18~28日目まで,オクトレオチド・エチレフリンの持続静注を開始した.胸水量は著明に減少したため,24日目と31日目に胸膜癒着術を施行した.32日目には胸水排液は完全消失した.オクトレオチド投与に伴い,脂肪吸収を抑制し乳糜流量を減少させ,またオクトレオチド・エチレフリン投与にて胸管の平滑筋収縮を促し,乳糜の漏出が消退したとされる.さらに,胸水排液量が減少したところで胸膜癒...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 75; no. 6; pp. 1547 - 1550 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2014
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.75.1547 |
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Summary: | 症例は68歳の女性,胸部食道癌に対し,食道癌根治術を行った.術後13日目より多量の胸水貯留を認め,乳糜胸と診断した.胸腔ドレナージを施行し,完全静脈栄養を開始,利尿剤やアルブミン製剤を投与するも胸水量の減少を認めなかったため,18~28日目まで,オクトレオチド・エチレフリンの持続静注を開始した.胸水量は著明に減少したため,24日目と31日目に胸膜癒着術を施行した.32日目には胸水排液は完全消失した.オクトレオチド投与に伴い,脂肪吸収を抑制し乳糜流量を減少させ,またオクトレオチド・エチレフリン投与にて胸管の平滑筋収縮を促し,乳糜の漏出が消退したとされる.さらに,胸水排液量が減少したところで胸膜癒着術を併用することで完全に治癒することが可能であった.乳糜胸に対する本薬剤治療は副作用もなく安全かつ効果の高い治療法と考えられた. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.75.1547 |