脳血管障害患者の配偶者の心理的適応について

脳血管障害患者の配偶者の心理的適応を調べるため,一側性の脳血管障害患者52名の配偶者を対象に役割交替,感情的問題,コミュニケーション上の問題の3つの領域に関してアンケート調査を行い,損傷側による差、高次脳機能障害の有無による差を検討した。役割交替では,高次脳機能障害を有する患者の配偶者の方が問題が大きかった。感情的問題では特に半側空間無視あり群の患者に対して,配偶者は否定的感情を強く持つ傾向が見られた。またコミュニケーション上の問題では,左半球損傷者のみならず右半球損傷者にも何らかの障害があることが示唆された。以上のことから,右半球損傷者,中でも半側空間無視を有する患者の配偶者は,心理的不適応...

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Published in失語症研究 Vol. 11; no. 4; pp. 256 - 261
Main Authors 宮森, 孝史, 永山, 千恵子, 山岸, すみ子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本失語症学会 (現 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会) 1991
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ISSN0285-9513
1880-6716
DOI10.2496/apr.11.256

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Summary:脳血管障害患者の配偶者の心理的適応を調べるため,一側性の脳血管障害患者52名の配偶者を対象に役割交替,感情的問題,コミュニケーション上の問題の3つの領域に関してアンケート調査を行い,損傷側による差、高次脳機能障害の有無による差を検討した。役割交替では,高次脳機能障害を有する患者の配偶者の方が問題が大きかった。感情的問題では特に半側空間無視あり群の患者に対して,配偶者は否定的感情を強く持つ傾向が見られた。またコミュニケーション上の問題では,左半球損傷者のみならず右半球損傷者にも何らかの障害があることが示唆された。以上のことから,右半球損傷者,中でも半側空間無視を有する患者の配偶者は,心理的不適応に陥りやすく,援助の必要性が高いことが考えられた。
ISSN:0285-9513
1880-6716
DOI:10.2496/apr.11.256