HER2陽性乳腺扁平上皮癌の1例

乳腺扁平上皮癌(以下,SCC)は乳癌の特殊型に分類される稀な疾患である.今回,腹腔内リンパ節転移から多彩な臨床症状を呈し予後不良であったHER2陽性SCCの1例を経験したので報告する.症例は55歳の女性.乳癌検診異常にて受診し,乳房超音波検査で左乳房CE領域に境界不明瞭な1cm大の低エコー腫瘤を認め,穿刺吸引細胞診にて悪性と診断された.CTでは左腋窩リンパ節の著明な腫脹,癒合を認め,明らかな遠隔転移は認めなかった.左乳癌,cT1N2aM0の術前診断にて左乳房全摘術+腋窩郭清を施行した.術後病理組織学的検査はSCC,ER:陰性,PgR:陰性,HER2:陽性の結果であり,HER2陽性SCCと診断し...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 81; no. 9; pp. 1715 - 1719
Main Authors 矢口, 豊久, 荒木, 貴代, 柴田, 有宏, 小幡, 弓真, 石原, 博雅, 高瀬, 恒信
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2020
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.81.1715

Cover

More Information
Summary:乳腺扁平上皮癌(以下,SCC)は乳癌の特殊型に分類される稀な疾患である.今回,腹腔内リンパ節転移から多彩な臨床症状を呈し予後不良であったHER2陽性SCCの1例を経験したので報告する.症例は55歳の女性.乳癌検診異常にて受診し,乳房超音波検査で左乳房CE領域に境界不明瞭な1cm大の低エコー腫瘤を認め,穿刺吸引細胞診にて悪性と診断された.CTでは左腋窩リンパ節の著明な腫脹,癒合を認め,明らかな遠隔転移は認めなかった.左乳癌,cT1N2aM0の術前診断にて左乳房全摘術+腋窩郭清を施行した.術後病理組織学的検査はSCC,ER:陰性,PgR:陰性,HER2:陽性の結果であり,HER2陽性SCCと診断した.術後に多発骨転移,傍大動脈リンパ節転移を認め,術後36カ月で原病死となった.HER2陽性SCCは非常に稀で,予後不良な経過となる可能性があり,慎重な経過観察が必要であると考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.81.1715