脾動脈瘤胃内穿破による特発性胃破裂の1救命例

75歳,男性。吐血を主訴に救急搬送された。腹部CTで脾動脈遠位に動脈瘤の胃内穿破を認めた。緊急動脈塞栓術を施行し止血を得た。第2病日に穿刺採取した腹腔内貯留液のALPが1,326U/L,アミラーゼが6,937U/Lと高値なことから胃穿孔を疑った。第3病日に施行したCT検査で胃前璧破裂の所見を認めたため緊急手術となった。胃体部前壁小弯側に縦走する10cmの裂創を認め,脾動脈瘤の胃内穿破に伴う胃破裂と診断した。破裂胃壁をAlbert-Lembert法で縫合し,ドレーンチューブを留置して閉腹した。第5病日に気管チューブを抜管し,第11病日から経口摂取を開始した。その後良好に経過し,第60病日に退院し...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 38; no. 6; pp. 1085 - 1089
Main Authors 濱口, 純, 清水, 敬樹, 東原, 琢, 今村, 和広, 鈴木, 大聡, 輿石, 剛, 三宅, 康史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 30.09.2018
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.38.1085

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Summary:75歳,男性。吐血を主訴に救急搬送された。腹部CTで脾動脈遠位に動脈瘤の胃内穿破を認めた。緊急動脈塞栓術を施行し止血を得た。第2病日に穿刺採取した腹腔内貯留液のALPが1,326U/L,アミラーゼが6,937U/Lと高値なことから胃穿孔を疑った。第3病日に施行したCT検査で胃前璧破裂の所見を認めたため緊急手術となった。胃体部前壁小弯側に縦走する10cmの裂創を認め,脾動脈瘤の胃内穿破に伴う胃破裂と診断した。破裂胃壁をAlbert-Lembert法で縫合し,ドレーンチューブを留置して閉腹した。第5病日に気管チューブを抜管し,第11病日から経口摂取を開始した。その後良好に経過し,第60病日に退院した。脾動脈瘤破裂,胃破裂ともに重症度が高く,救命のためには出血に対する迅速な初期治療と,胃破裂に対する侵襲度を考慮した過不足のない手術が必要である。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.38.1085