モルヒネ持続点滴からオキシコドン内服へのスイッチ後も良好な呼吸困難の緩和が維持できた末期心不全の1例

今回我々は,腎機能低下を伴う末期心不全の呼吸困難に対して,モルヒネ持続点滴からオキシコドン内服に切り替えても効果が変わらなかった症例を報告する。オピオイドは,従来考えられていた機序に加え,受容体間クロストークによる心保護作用から,末期心不全の呼吸困難の緩和にも有効とされ,ガイドラインではモルヒネが推奨されている。しかし,末期心不全は腎機能も低下していることが多く,モルヒネでは代謝産物蓄積による有害事象が懸念される。オキシコドンは代謝産物に薬理作用がなく,腎不全でも安全に同等の効果が得られることが報告されており,自験例も同様であった。現状では,末期心不全の緩和ケアにおいてはオピオイドの保険適用が...

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Published in日本病院総合診療医学会雑誌 Vol. 21; no. 3; pp. 69 - 76
Main Authors 内田, 有紀, 須藤, 一郎, 鈴木, 賢二, 岡本, 洋康, 若槻, 育代, 竹下, 千紘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本病院総合診療医学会 2025
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ISSN2185-8136
2758-7878
DOI10.60227/jhgmwabun.21.3_69

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Summary:今回我々は,腎機能低下を伴う末期心不全の呼吸困難に対して,モルヒネ持続点滴からオキシコドン内服に切り替えても効果が変わらなかった症例を報告する。オピオイドは,従来考えられていた機序に加え,受容体間クロストークによる心保護作用から,末期心不全の呼吸困難の緩和にも有効とされ,ガイドラインではモルヒネが推奨されている。しかし,末期心不全は腎機能も低下していることが多く,モルヒネでは代謝産物蓄積による有害事象が懸念される。オキシコドンは代謝産物に薬理作用がなく,腎不全でも安全に同等の効果が得られることが報告されており,自験例も同様であった。現状では,末期心不全の緩和ケアにおいてはオピオイドの保険適用が限定的である。しかし,適切な使用で効果が得られた症例が集積されれば適用の拡大につながり,オキシコドンが腎機能低下を伴う心不全の症状緩和に有効な標準的治療法となることが期待される。
ISSN:2185-8136
2758-7878
DOI:10.60227/jhgmwabun.21.3_69