降下性壊死性縦隔炎の診断と対応

咽頭膿瘍や歯原性感染から引き起こされる降下性壊死性縦隔炎は,危険性が周知された深頸部膿瘍と異なり,依然として致死的な感染症である。6例の治療例を提示し,複数回手術を要した1例の詳細を紹介する。6例とも受診当日に頸胸部CTで縦隔炎を確認し,当日にドレナージ手術を行った。6例中type Ⅰの2例には頸部ドレナージを,type Ⅱaの3例には頸部ドレナージに剣状突起下ドレナージを併用した。Type Ⅱbの1例は頸部ドレナージのみを行ったが,膿瘍が残存したため3回の手術を必要とした。6例とも頸部感染による喉頭浮腫を認めたため気管切開を行ったが,全例で気管孔の閉鎖が可能であった。6例とも頸部切開創は酸素...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in頭頸部外科 Vol. 28; no. 2; pp. 149 - 155
Main Authors 福家, 智仁, 金児, 真美佳, 小林, 大介, 山田, 弘之, 福喜多, 晃平, 上田, 航毅
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会 2018
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1349-581X
1884-474X
DOI10.5106/jjshns.28.149

Cover

More Information
Summary:咽頭膿瘍や歯原性感染から引き起こされる降下性壊死性縦隔炎は,危険性が周知された深頸部膿瘍と異なり,依然として致死的な感染症である。6例の治療例を提示し,複数回手術を要した1例の詳細を紹介する。6例とも受診当日に頸胸部CTで縦隔炎を確認し,当日にドレナージ手術を行った。6例中type Ⅰの2例には頸部ドレナージを,type Ⅱaの3例には頸部ドレナージに剣状突起下ドレナージを併用した。Type Ⅱbの1例は頸部ドレナージのみを行ったが,膿瘍が残存したため3回の手術を必要とした。6例とも頸部感染による喉頭浮腫を認めたため気管切開を行ったが,全例で気管孔の閉鎖が可能であった。6例とも頸部切開創は酸素にさらすため,連日のヨードホルムガーゼ交換を容易にするべく,開放創とした。6例とも良好な経過を辿り退院した。縦隔炎における進展度分類に応じたドレナージ法が選択されるべきではあるが,胸部外科と連携して安全で確実な治療法を選択することが求められる。頸部感染による気道トラブルを回避すべき,また複数回手術が決して稀ではない病態だけに,気管切開は必須と考える。
ISSN:1349-581X
1884-474X
DOI:10.5106/jjshns.28.149