医事会計システムへの実装を志向したがん登録症例を識別する統計モデルの開発:多施設共同研究

2016年1月から施行された全国がん登録事業では,医療機関等からの症例の届出を義務化することで,高い悉皆性を期待できるがん情報の収集が可能となった.しかしながら,がん登録症例の届出を行う医療機関では,多くの外来や入院患者の中から効率よくがん登録症例を検索することは容易ではない.そこで本研究では,複数施設の診療情報からがん登録症例を識別する統計モデルの開発と開発した識別モデルの判別能の評価を行った.医事会計システムから取得可能なデータをもとに開発した識別モデルのAUC値は0.953であった.また未知となる評価用データセットを用いた識別モデルの判別能(95%信頼区間)は,感度92.0%(90.5%...

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Published in医療情報学 Vol. 39; no. 3; pp. 133 - 141
Main Author 小原, 仁
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本医療情報学会 25.12.2019
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ISSN0289-8055
2188-8469
DOI10.14948/jami.39.133

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Summary:2016年1月から施行された全国がん登録事業では,医療機関等からの症例の届出を義務化することで,高い悉皆性を期待できるがん情報の収集が可能となった.しかしながら,がん登録症例の届出を行う医療機関では,多くの外来や入院患者の中から効率よくがん登録症例を検索することは容易ではない.そこで本研究では,複数施設の診療情報からがん登録症例を識別する統計モデルの開発と開発した識別モデルの判別能の評価を行った.医事会計システムから取得可能なデータをもとに開発した識別モデルのAUC値は0.953であった.また未知となる評価用データセットを用いた識別モデルの判別能(95%信頼区間)は,感度92.0%(90.5%-93.3%),特異度89.1%(88.7%-89.6%)の精度で,がん登録に係る検索対象症例の82.2%を除外した.保険診療を行う多くの病院で利用可能な本識別モデルは,がん登録の症例検索に係る作業の効率化を期待できる.
ISSN:0289-8055
2188-8469
DOI:10.14948/jami.39.133