片側反回神経麻痺に対する披裂軟骨内転術と喉頭内神経再建術併施

片側反回神経麻痺は嗄声と誤嚥を引き起こし,患者のQOL低下につながる。麻痺の自然回復が期待できない症例では,反回神経の再神経化によって麻痺声帯の萎縮を改善し,かつ副正中位に移動させることが有効である。ただ再神経化による効果が表れるまでにはある程度の時間が必要である。披裂軟骨内転術と神経吻合を喉頭内の同一術野で行うことで,症状の早期軽減と,再神経化による更なる症状回復を目的とした。10例の陳旧性片側反回神経麻痺に対してこの手術を行い,全例において術直後のMPT延長が得られた。7か月以上経過した頃には,更なるMPT延長が認められ,術前のMPTとの間にはそれぞれ有意差を認めた。GRBAS評価では,G...

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Published in頭頸部外科 Vol. 31; no. 2; pp. 117 - 123
Main Authors 福家, 智仁, 金児, 真美佳, 小林, 大介, 山田, 弘之, 平田, 智也, 澤, 允洋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会 2021
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ISSN1349-581X
1884-474X
DOI10.5106/jjshns.31.117

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Summary:片側反回神経麻痺は嗄声と誤嚥を引き起こし,患者のQOL低下につながる。麻痺の自然回復が期待できない症例では,反回神経の再神経化によって麻痺声帯の萎縮を改善し,かつ副正中位に移動させることが有効である。ただ再神経化による効果が表れるまでにはある程度の時間が必要である。披裂軟骨内転術と神経吻合を喉頭内の同一術野で行うことで,症状の早期軽減と,再神経化による更なる症状回復を目的とした。10例の陳旧性片側反回神経麻痺に対してこの手術を行い,全例において術直後のMPT延長が得られた。7か月以上経過した頃には,更なるMPT延長が認められ,術前のMPTとの間にはそれぞれ有意差を認めた。GRBAS評価では,G・B項目が術直後には有意差をもって数値軽減を認め,7か月以上経過時には更に改善を認めた。本手技は,従来の神経再建術に欠落していた即効性を加味した点で,神経再建術単独よりも恩恵が得られるものと考える。
ISSN:1349-581X
1884-474X
DOI:10.5106/jjshns.31.117