転倒経験者と非転倒経験者を判別するための最適な歩行特徴の特定 足部クリアランス測定部位の違いと遊脚期の最大・最小クリアランスに着目して

【目的】本研究の目的は,つまずきによる転倒に関連するクリアランスに着目し,「足部クリアランス測定部位の違 い」と「遊脚期の最大・最小クリアランス」に関する,転倒経験者の歩行特徴を特定することである。【方法】本研究は,地域在住高齢者の非転倒経験者26 名(非転倒群,69.4 ± 3.2 歳,女性13 名)と転倒経験者23 名 (転倒群,67.7 ± 2.6 歳,女性12 名)を対象とした。三次元動作解析装置・床反力計を用いて,遊脚期の最大クリアランスと最小クリアランスを計測した。本研究では,足部クリアランス測定部位の条件として,踵のマーカーから第 3 中足骨頭のマーカーまでの直線上の11 点を設...

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Published in日本転倒予防学会誌 Vol. 9; no. 2; pp. 13 - 24
Main Authors 中嶋, 香奈子, 工藤, 将馬, 黄, 晨暉, 沓澤, 岳, 中原, 謙太郎, 稲井, 卓真, 小林, 吉之, 藤田, 浩二, 二瓶, 史行, 山本, 皓子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本転倒予防学会 10.03.2023
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ISSN2188-5702
2188-5710
DOI10.11335/tentouyobou.9.2_13

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Summary:【目的】本研究の目的は,つまずきによる転倒に関連するクリアランスに着目し,「足部クリアランス測定部位の違 い」と「遊脚期の最大・最小クリアランス」に関する,転倒経験者の歩行特徴を特定することである。【方法】本研究は,地域在住高齢者の非転倒経験者26 名(非転倒群,69.4 ± 3.2 歳,女性13 名)と転倒経験者23 名 (転倒群,67.7 ± 2.6 歳,女性12 名)を対象とした。三次元動作解析装置・床反力計を用いて,遊脚期の最大クリアランスと最小クリアランスを計測した。本研究では,足部クリアランス測定部位の条件として,踵のマーカーから第 3 中足骨頭のマーカーまでの直線上の11 点を設定した。Cohen’s d を用いて効果量を計算した。【結果】すべての足部クリアランス測定部位の条件で,非転倒群と比べて転倒群の最大クリアランスは有意に小さ かった。ほぼすべての足部クリアランス測定部位の条件で,非転倒群と比べて転倒群の最小クリアランスは有意に小さかった。最小クリアランスよりも,最大クリアランスの効果量は大きかった(最大クリアランス:0.68-0.84[中-大],最小クリアランス:0.53-0.54[中])。踵側よりも,つま先側の最大クリアランスの効果量は大きかった(踵:0.68 [中],つま先:0.84[大])。【結論】本研究では,つまずきによる転倒に関連するクリアランスに着目して,転倒経験者の歩行特徴を特定した。 結論として,クリアランスを用いて転倒リスクを高い精度で評価するためには,「つま先」の「最大」クリアランスをみることが適切である可能性が示された。
ISSN:2188-5702
2188-5710
DOI:10.11335/tentouyobou.9.2_13