胸腔鏡下肺生検で診断しえた肺硝子化肉芽腫の1例

症例は62歳,男性.当院呼吸器内科で3年前から多発する両側肺結節を外来経過観察中であった.内科受診後に気管支鏡検査,CTガイド下肺生検を施行されたが,陰影の遊走のため検体採取が困難であり,確定診断に至らなかった.本人の希望もあり,外科的肺生検は行わず胸部CT検査による経過観察を行い,腫瘍径の変化は認めなかった.2020年8月の胸部CT検査で右肺に新たな結節が出現し,左肺の結節が増大していた.転移性肺腫瘍や悪性リンパ腫を否定できず,確定診断のため胸腔鏡下肺生検を行った.病理所見より肺硝子化肉芽腫と診断された.本症の病因については不明である.結核や真菌,ヒトプラズマなどの感染症との関連や後腹膜線維...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 36; no. 1; pp. 60 - 64
Main Authors 坂梨, 渓太, 生田, 安司, 中村, 勝也, 内山, 明彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.01.2022
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.36.60

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Summary:症例は62歳,男性.当院呼吸器内科で3年前から多発する両側肺結節を外来経過観察中であった.内科受診後に気管支鏡検査,CTガイド下肺生検を施行されたが,陰影の遊走のため検体採取が困難であり,確定診断に至らなかった.本人の希望もあり,外科的肺生検は行わず胸部CT検査による経過観察を行い,腫瘍径の変化は認めなかった.2020年8月の胸部CT検査で右肺に新たな結節が出現し,左肺の結節が増大していた.転移性肺腫瘍や悪性リンパ腫を否定できず,確定診断のため胸腔鏡下肺生検を行った.病理所見より肺硝子化肉芽腫と診断された.本症の病因については不明である.結核や真菌,ヒトプラズマなどの感染症との関連や後腹膜線維症,硬化性縦隔炎の合併から自己免疫学的機序との関連などが推測される.本症例においては原因となるような併存症は認めなかった.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.36.60