菌血症治療中に心タンポナーデを来した冠動脈瘤破裂の1救命例
冠動脈瘤は比較的稀な疾患ではあるが,心筋梗塞や心タンポナーデを来し致命的な経過を辿ることから,迅速な治療が求められる。症例は58歳,男性。化膿性膝関節炎治療中に冠動脈3枝病変と右冠動脈瘤を指摘され,冠動脈狭窄,心房細動に対して抗凝固薬と抗血小板薬が追加された。その後,心嚢液が緩徐に増加し,第17病日に閉塞性ショックを伴う心タンポナーデを来し,転院した。緊急開胸手術を行い,心膜切開をすると,心膜切開後CVPは30 mmHgから8 mmHgまで速やかに低下し,血行動態は安定した。出血源は右冠動脈瘤と考えられたため縫合止血し,大動脈内バルーンパンピング補助下に冠動脈バイパス術を併施した。 心タンポナ...
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Published in | 日本集中治療医学会雑誌 Vol. 31; no. 1; pp. 5 - 8 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本集中治療医学会
01.01.2024
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ISSN | 1340-7988 1882-966X |
DOI | 10.3918/jsicm.31_5 |
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Summary: | 冠動脈瘤は比較的稀な疾患ではあるが,心筋梗塞や心タンポナーデを来し致命的な経過を辿ることから,迅速な治療が求められる。症例は58歳,男性。化膿性膝関節炎治療中に冠動脈3枝病変と右冠動脈瘤を指摘され,冠動脈狭窄,心房細動に対して抗凝固薬と抗血小板薬が追加された。その後,心嚢液が緩徐に増加し,第17病日に閉塞性ショックを伴う心タンポナーデを来し,転院した。緊急開胸手術を行い,心膜切開をすると,心膜切開後CVPは30 mmHgから8 mmHgまで速やかに低下し,血行動態は安定した。出血源は右冠動脈瘤と考えられたため縫合止血し,大動脈内バルーンパンピング補助下に冠動脈バイパス術を併施した。 心タンポナーデの原因として外傷,心筋梗塞,心破裂,心膜炎などが挙げられるが,今回のように冠動脈瘤破裂も一因となり得ることは銘記すべきである。さらに,冠動脈瘤や心嚢液を有する菌血症治療時には,外科治療も念頭に治療を進めるべきとも考える。 |
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ISSN: | 1340-7988 1882-966X |
DOI: | 10.3918/jsicm.31_5 |