感染制御目的に肺全摘を要したSwyer-James症候群の1例

Swyer-James症候群は呼吸器感染症後に,胸部X線上一側肺もしくは肺葉の透過性亢進,肺血管陰影の減少を来す疾患である.症例は24歳男性,生後3ヵ月より肺炎を繰り返し,1歳8ヵ月でSwyer-James症候群と診断された.肺炎を繰り返し,左肺は荒蕪肺となっていた.感染のコントロールが不良となり,左肺全摘の方針となった.術中,胸腔内の癒着は軽度で,肺動脈,気管支に低形成は認めず,肺全摘を施行した.合併症なく退院,その後も感染なく経過している.Swyer-James症候群は通常,経過観察されるが,大量の喀血,治療抵抗性の感染症など限られた適応で手術を検討する.本症例は,気管支拡張症を伴い,感染...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 33; no. 1; pp. 90 - 94
Main Authors 関原, 圭吾, 石黒, 勇輝, 住谷, 隆輔, 喜納, 五月, 長阪, 智
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.01.2019
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.33.90

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Summary:Swyer-James症候群は呼吸器感染症後に,胸部X線上一側肺もしくは肺葉の透過性亢進,肺血管陰影の減少を来す疾患である.症例は24歳男性,生後3ヵ月より肺炎を繰り返し,1歳8ヵ月でSwyer-James症候群と診断された.肺炎を繰り返し,左肺は荒蕪肺となっていた.感染のコントロールが不良となり,左肺全摘の方針となった.術中,胸腔内の癒着は軽度で,肺動脈,気管支に低形成は認めず,肺全摘を施行した.合併症なく退院,その後も感染なく経過している.Swyer-James症候群は通常,経過観察されるが,大量の喀血,治療抵抗性の感染症など限られた適応で手術を検討する.本症例は,気管支拡張症を伴い,感染を繰り返し,荒蕪肺と化したため片肺全摘を行い,良好な経過を得た.Swyer-James症候群に対する肺全摘は稀であるが,有効な症例も存在するため,適切な症例選択が肝要である.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.33.90