完全腹腔鏡下に十二指腸分節切除術を行った十二指腸GISTの1例

症例は60歳の男性で,高度貧血にて受診した.腹部CTにて十二指腸Treitz靱帯近傍の腸管内に血流豊富な5cm大の腫瘤を指摘され,小腸内視鏡検査にて粘膜自潰を伴う粘膜下腫瘍を認めた.十二指腸造影にて腫瘍は十二指腸水平部に位置することを確認し,十二指腸粘膜下腫瘍の診断のもと,腹腔鏡下十二指腸分節切除および完全鏡視下十二指腸空腸吻合を施行した.術後経過は良好で術後10日目に退院となった.病理組織学的にはlow risk GISTと診断された.十二指腸GISTにおいても,腫瘍の局在と大きさを考慮し,腫瘍学的な妥当性を保持しつつ臓器機能温存を追求できれば,その低侵襲性と整容上の利点より,腹腔鏡手術はよ...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 76; no. 2; pp. 292 - 299
Main Authors 松本, 哲平, 北浦, 良樹, 土居, 布加志, 楠本, 正博, 興梠, 隆, 石川, 奈美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2015
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.76.292

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Summary:症例は60歳の男性で,高度貧血にて受診した.腹部CTにて十二指腸Treitz靱帯近傍の腸管内に血流豊富な5cm大の腫瘤を指摘され,小腸内視鏡検査にて粘膜自潰を伴う粘膜下腫瘍を認めた.十二指腸造影にて腫瘍は十二指腸水平部に位置することを確認し,十二指腸粘膜下腫瘍の診断のもと,腹腔鏡下十二指腸分節切除および完全鏡視下十二指腸空腸吻合を施行した.術後経過は良好で術後10日目に退院となった.病理組織学的にはlow risk GISTと診断された.十二指腸GISTにおいても,腫瘍の局在と大きさを考慮し,腫瘍学的な妥当性を保持しつつ臓器機能温存を追求できれば,その低侵襲性と整容上の利点より,腹腔鏡手術はよい適応と思われた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.76.292