急性リンパ性白血病に対するCAR-T細胞療法

悪性腫瘍に対する免疫療法の歴史は古いが,ほとんどの場合その効果は限定的で治療の中心にはなり得なかった。chimeric antigen receptor-T(CAR-T)細胞は,主として抗体の可変部位とT細胞受容体の細胞内ドメインからなるキメラ抗原受容体をT細胞に強制発現させた細胞で,抗原提示細胞の介在を必要とすることなく,抗体由来の抗原特異性で活性化される。初期の臨床試験では目立った効果が得られなかったものの,CD19を標的とした第2世代CAR-T細胞療法は,再発/難治の急性リンパ性白血病に対して優れた効果を発揮することが示された。一方で重篤なサイトカイン放出症候群(cytokine rel...

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Published in日本造血細胞移植学会雑誌 Vol. 9; no. 4; pp. 93 - 99
Main Authors 加藤, 格, 足立, 壯一, 平松, 英文, 梅田, 雄嗣, 滝田, 順子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本造血細胞移植学会 2020
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ISSN2186-5612
DOI10.7889/hct-20-004

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Summary:悪性腫瘍に対する免疫療法の歴史は古いが,ほとんどの場合その効果は限定的で治療の中心にはなり得なかった。chimeric antigen receptor-T(CAR-T)細胞は,主として抗体の可変部位とT細胞受容体の細胞内ドメインからなるキメラ抗原受容体をT細胞に強制発現させた細胞で,抗原提示細胞の介在を必要とすることなく,抗体由来の抗原特異性で活性化される。初期の臨床試験では目立った効果が得られなかったものの,CD19を標的とした第2世代CAR-T細胞療法は,再発/難治の急性リンパ性白血病に対して優れた効果を発揮することが示された。一方で重篤なサイトカイン放出症候群(cytokine release syndrome,CRS)や神経症状の合併など,安全性に関して克服すべき問題点も多い。本稿ではCAR-T細胞の開発の経緯と臨床応用の現状,さらには今後について概説した。
ISSN:2186-5612
DOI:10.7889/hct-20-004