食道癌再手術後の内ヘルニアから門脈ガス血症と腸管嚢胞様気腫症を呈した1例

要旨:症例は,62歳男性。前医にて胸部食道癌に対し,右開胸開腹食道亜全摘,後縦隔経路胃管再建,腸瘻造設術を施行したが第10病日に胃管壊死と診断した。胃管壊死部切除と健常部を胸壁前に埋没,頸部食道皮膚瘻を造設した。食道再建術目的にて当科に転院となった。開腹にて有茎遊離空腸を採取,頸部食道と埋没した胃管の間に有茎遊離空腸を間置した。第4病日に嘔吐と腹痛を訴え,腹部CT検査を行った。門脈ガス血症と腸管嚢胞様気腫症を認め,緊急開腹となった。手術所見では腸瘻造設部肛門側の空腸が腹膜と癒着し,その癒着部と腸瘻造設部の2点を基点として肛門側の全小腸が背側から尾側へ入り込み内ヘルニアとなっていた。これを整復し...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 33; no. 5; pp. 913 - 917
Main Authors 松谷, 毅, 萩原, 信敏, 山下, 直行, 野村, 務, 宮下, 正夫, 内田, 英二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2013
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.33.913

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Summary:要旨:症例は,62歳男性。前医にて胸部食道癌に対し,右開胸開腹食道亜全摘,後縦隔経路胃管再建,腸瘻造設術を施行したが第10病日に胃管壊死と診断した。胃管壊死部切除と健常部を胸壁前に埋没,頸部食道皮膚瘻を造設した。食道再建術目的にて当科に転院となった。開腹にて有茎遊離空腸を採取,頸部食道と埋没した胃管の間に有茎遊離空腸を間置した。第4病日に嘔吐と腹痛を訴え,腹部CT検査を行った。門脈ガス血症と腸管嚢胞様気腫症を認め,緊急開腹となった。手術所見では腸瘻造設部肛門側の空腸が腹膜と癒着し,その癒着部と腸瘻造設部の2点を基点として肛門側の全小腸が背側から尾側へ入り込み内ヘルニアとなっていた。これを整復し,腸管壊死は認めなかったため腸管切除は行わなかった。術後早期に経口摂取可能となり第21病日に軽快退院した。食道癌術後の内ヘルニアに起因して発症した門脈ガス血症と腸管嚢胞様気腫症の報告は極めてまれと思われた。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.33.913