十二指腸狭窄で発症した虫垂粘液癌の1例

症例は,71歳女性。嘔吐,腹痛にて当科紹介された。CT検査にて十二指腸狭窄,胆管,膵管拡張がみられたが,膵頭部腫瘤は認めなかった。上部消化管内視鏡で十二指腸狭窄がみられたが,粘膜面は正常であった。腹部血管造影では血管増生を認めなかった。腫瘍マーカーは,CA19-9,DUPAN-2,IL-2Rの上昇を認め,CEAは基準値内であった。PET-CTは,十二指腸と肺門にFDGの集積を認めた。以上より膵癌を疑い手術とした。手術所見は十二指腸を巻き込む腫瘤と腹膜播種があり,生検にて粘液癌と診断した。虫垂に腫瘤を認め,原発性虫垂癌(粘液癌)の腹膜播種による十二指腸狭窄と考えた。虫垂切除術と胃空腸吻合術を行っ...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 32; no. 3; pp. 703 - 706
Main Authors 湊, 拓也, 石川, 正志, 山下, 理子, 木村, 秀, 滝沢, 宏光, 阪田, 章聖, 一森, 敏弘, 藤井, 義幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2012
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.32.703

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Summary:症例は,71歳女性。嘔吐,腹痛にて当科紹介された。CT検査にて十二指腸狭窄,胆管,膵管拡張がみられたが,膵頭部腫瘤は認めなかった。上部消化管内視鏡で十二指腸狭窄がみられたが,粘膜面は正常であった。腹部血管造影では血管増生を認めなかった。腫瘍マーカーは,CA19-9,DUPAN-2,IL-2Rの上昇を認め,CEAは基準値内であった。PET-CTは,十二指腸と肺門にFDGの集積を認めた。以上より膵癌を疑い手術とした。手術所見は十二指腸を巻き込む腫瘤と腹膜播種があり,生検にて粘液癌と診断した。虫垂に腫瘤を認め,原発性虫垂癌(粘液癌)の腹膜播種による十二指腸狭窄と考えた。虫垂切除術と胃空腸吻合術を行った。術後化学療法としてTS-1内服を行った。原発性虫垂癌はまれな疾患であり,多くは虫垂炎として手術され病理検査で診断される。特異的症状がなく,術前診断に難渋することが多い。腹膜播種による十二指腸狭窄を主訴とした虫垂癌はまれであり,文献的考察を加え報告する。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.32.703