短腸症候群にて長期中心静脈栄養管理中に発症した亜鉛,銅欠乏性貧血の1例

要旨:83歳,男性。急性上腸間膜動脈塞栓症による腸管壊死で,大量腸管切除施行後,在宅中心静脈栄養管理中であった。術後5年半後に著明な鉄剤不応性大球性正色素性貧血と,白血球,好中球の減少を認めた。上,下部消化管内視鏡検査と骨髄検査で異常所見は認められなかった。採血検査で著明な亜鉛,銅,アルカリフォスファターゼ,セルロプラスミン濃度の低下を認めたため,亜鉛,銅欠乏性貧血と診断した。 ポラプレジンクの内服と,微量元素製剤の高カロリー輸液への混注を開始し,約1ヵ月後に亜鉛,銅濃度は正常化し,貧血も改善し,白血球数,好中球数も正常範囲まで回復した。以後再発は認められない。短腸症候群の長期在宅中心静脈栄養...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 33; no. 4; pp. 759 - 762
Main Authors 佃, 和憲, 久保, 孝文, 万代, 康弘, 大橋, 龍一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2013
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.33.759

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Summary:要旨:83歳,男性。急性上腸間膜動脈塞栓症による腸管壊死で,大量腸管切除施行後,在宅中心静脈栄養管理中であった。術後5年半後に著明な鉄剤不応性大球性正色素性貧血と,白血球,好中球の減少を認めた。上,下部消化管内視鏡検査と骨髄検査で異常所見は認められなかった。採血検査で著明な亜鉛,銅,アルカリフォスファターゼ,セルロプラスミン濃度の低下を認めたため,亜鉛,銅欠乏性貧血と診断した。 ポラプレジンクの内服と,微量元素製剤の高カロリー輸液への混注を開始し,約1ヵ月後に亜鉛,銅濃度は正常化し,貧血も改善し,白血球数,好中球数も正常範囲まで回復した。以後再発は認められない。短腸症候群の長期在宅中心静脈栄養管理中に発症した亜鉛,銅欠乏性貧血の1例を経験したため,文献的考察を加え報告する。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.33.759