A 型大動脈解離術後に遅発性対麻痺を発症した1例

症例は53歳,男性.主訴は突然の胸背部痛.近医で急性A型大動脈解離と診断され,当院へ搬送された.手術は上行弓部大動脈人工血管置換術を行い,術後4日目には歩行訓練を開始したが,術後5日目に突然対麻痺を発症した.対麻痺発症直後のCT検査では胸部下行大動脈偽腔の中位レベルまでの血栓化と下位レベルでの造影遅延を認め,ただちに脳脊髄液圧を14 cmH2O未満に維持するように脳脊髄液ドレナージを開始し,4日間継続した.治療開始後から下肢を動かせるようになったが運動障害の完全な回復には至らず,術後40日目不全対麻痺の状態でリハビリテーションを目的に転院となった....

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 45; no. 1; pp. 45 - 48
Main Authors 古川, 貢之, 阪口, 修平, 松山, 正和, 矢野, 光洋, 川越, 勝也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 2016
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ISSN0285-1474
1883-4108
DOI10.4326/jjcvs.45.45

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Summary:症例は53歳,男性.主訴は突然の胸背部痛.近医で急性A型大動脈解離と診断され,当院へ搬送された.手術は上行弓部大動脈人工血管置換術を行い,術後4日目には歩行訓練を開始したが,術後5日目に突然対麻痺を発症した.対麻痺発症直後のCT検査では胸部下行大動脈偽腔の中位レベルまでの血栓化と下位レベルでの造影遅延を認め,ただちに脳脊髄液圧を14 cmH2O未満に維持するように脳脊髄液ドレナージを開始し,4日間継続した.治療開始後から下肢を動かせるようになったが運動障害の完全な回復には至らず,術後40日目不全対麻痺の状態でリハビリテーションを目的に転院となった.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.45.45