13歳左傍十二指腸ヘルニアの1例

症例は13歳,男性.入院の半月前から間欠的な腹痛を自覚しており,症状の改善を認めないため当院紹介受診した.来院時バイタルサインは安定していたが心窩部に圧痛があり,腸蠕動音は減弱し,腹膜刺激症状を認めていた.血液生化学検査所見では炎症反応の上昇があった.腹部単純X線検査では,典型的な鏡面像を呈しており腸閉塞が示唆された.腹部造影CTでは下行結腸背側に小腸が嵌入しており,嚢状構造を形成していた.嵌入した小腸壁の造影効果は不良であり,腸管壊死をきたした左傍十二指腸ヘルニアと診断し腹部正中切開で手術を開始した.手術所見として,空腸が壊死していたため小腸部分切除術を施行した.術後経過は良好で,合併症を起...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 77; no. 3; pp. 569 - 572
Main Authors 安部, 智之, 天野, 尋暢, 別木, 智昭, 中原, 雅浩, 斎藤, 竜助, 竹井, 大祐
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2016
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.77.569

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Summary:症例は13歳,男性.入院の半月前から間欠的な腹痛を自覚しており,症状の改善を認めないため当院紹介受診した.来院時バイタルサインは安定していたが心窩部に圧痛があり,腸蠕動音は減弱し,腹膜刺激症状を認めていた.血液生化学検査所見では炎症反応の上昇があった.腹部単純X線検査では,典型的な鏡面像を呈しており腸閉塞が示唆された.腹部造影CTでは下行結腸背側に小腸が嵌入しており,嚢状構造を形成していた.嵌入した小腸壁の造影効果は不良であり,腸管壊死をきたした左傍十二指腸ヘルニアと診断し腹部正中切開で手術を開始した.手術所見として,空腸が壊死していたため小腸部分切除術を施行した.術後経過は良好で,合併症を起こすことなく14日目に退院となった.今回,われわれは,小児における左傍十二指腸ヘルニアの1例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.77.569