頻尿を契機に発見された骨盤内solitary fibrous tumorの1例

症例は69歳,男性.頻尿を主訴に近医を受診し,骨盤内腫瘤を指摘され,当科を紹介された.腹部CTでは,膀胱や前立腺を右側に圧排する巨大腫瘤を認めた.画像所見で周囲への浸潤はなく一括切除が可能と判断し,生検は行わず手術の方針とした.標本は最大径26cm,2,030g.割面は主としてゼリー状で隔壁を有する嚢胞性,充実性の腫瘍部分とが混在していた.組織学的には“patternless pattern”を認めた.免疫染色では,CD34・Bcl-2・CD99が陽性で,近年有用性の高さが報告されているSTAT6にも陽性を示し,孤立性線維性腫瘍(solitary fibrous tumor:以下SFT)と診断...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 79; no. 2; pp. 418 - 423
Main Authors 織畑, 光一, 岸田, 由起子, 辻本, 裕紀, 村田, 祐二郎, 寺下, 勇祐, 寺島, 裕夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2018
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.79.418

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Summary:症例は69歳,男性.頻尿を主訴に近医を受診し,骨盤内腫瘤を指摘され,当科を紹介された.腹部CTでは,膀胱や前立腺を右側に圧排する巨大腫瘤を認めた.画像所見で周囲への浸潤はなく一括切除が可能と判断し,生検は行わず手術の方針とした.標本は最大径26cm,2,030g.割面は主としてゼリー状で隔壁を有する嚢胞性,充実性の腫瘍部分とが混在していた.組織学的には“patternless pattern”を認めた.免疫染色では,CD34・Bcl-2・CD99が陽性で,近年有用性の高さが報告されているSTAT6にも陽性を示し,孤立性線維性腫瘍(solitary fibrous tumor:以下SFT)と診断された.頻尿という特異性の低い症状を契機に発見されたSFTは,1983~2016年での報告例(会議録を除く)7例のみで,貴重な症例と考え,若干の文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.79.418