腹部所見と白血球数値変化の2項目を重視した虫垂炎治療戦略

急性虫垂炎に対し保存加療が奏効しないと合併症として複雑性虫垂炎に進行するため,選択薬の効果の確認が重要である。われわれは保存加療導入後に汎発性腹膜炎所見の出現と白血球数値の経時変化の2項目を重視した効果判定を繰り返し,その有効性を治療成績から後方視的に検討した。2012年度の50例でROC曲線から複雑性虫垂炎進行例のCut Off値を設定し,24時間以内に初診時と比較して白血球数値が80%以上を維持するものとした。2013年度から汎発性腹膜炎の出現は緊急手術,保存加療継続例は翌朝の白血球数値80%以上で抗菌薬を変更し,48時間以内に手術判断とする治療戦略を立てた。これを厳密に確認した72例と従...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 39; no. 4; pp. 637 - 644
Main Authors 谷口, 厚樹, 浅野, 博昭, 山本, 澄治, 宇高, 徹総, 松本, 尚也, 久保, 雅俊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.05.2019
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.39.637

Cover

More Information
Summary:急性虫垂炎に対し保存加療が奏効しないと合併症として複雑性虫垂炎に進行するため,選択薬の効果の確認が重要である。われわれは保存加療導入後に汎発性腹膜炎所見の出現と白血球数値の経時変化の2項目を重視した効果判定を繰り返し,その有効性を治療成績から後方視的に検討した。2012年度の50例でROC曲線から複雑性虫垂炎進行例のCut Off値を設定し,24時間以内に初診時と比較して白血球数値が80%以上を維持するものとした。2013年度から汎発性腹膜炎の出現は緊急手術,保存加療継続例は翌朝の白血球数値80%以上で抗菌薬を変更し,48時間以内に手術判断とする治療戦略を立てた。これを厳密に確認した72例と従来法197例で検討した。手術26例,保存加療46例(抗菌薬変更8例,手術移行)で,複雑性虫垂炎進行例はなく有意に減少した。腹膜炎所見と24時間以内の白血球数値80%の指標は虫垂炎治療に有効と考えた。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.39.637