肺嚢胞内に急速に発生増大した扁平上皮癌の1例

症例は63歳,男性,糖尿病・肺結核などの既往を認め,喫煙指数は1,200.以前より右肺上葉を占める肺嚢胞を指摘されており,平成25年8月の胸部CTでは嚢胞内に腫瘤を認めなかった.しかし,同12月に胸部X線にて嚢胞内に腫瘤を指摘された.CTでは右上葉の肺嚢胞内部に34×32mmの腫瘤を認め,PET-CTではSUV max 25の高い集積を認めたが,気管支鏡下生検ではClass Iであった.採血ではCEA,CYFRA,アスペルギルス抗原は陰性.腫瘤は増大傾向を呈しており,胸腔鏡下手術を施行した.強固な癒着を剥離し針生検を行うも壊死組織のみで診断に至らず,右肺上葉切除を施行した.迅速病理診断では肺癌...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 76; no. 4; pp. 709 - 713
Main Authors 平山, 杏, 角岡, 信男, 松田, 史雄, 稲沢, 慶太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2015
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.76.709

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Summary:症例は63歳,男性,糖尿病・肺結核などの既往を認め,喫煙指数は1,200.以前より右肺上葉を占める肺嚢胞を指摘されており,平成25年8月の胸部CTでは嚢胞内に腫瘤を認めなかった.しかし,同12月に胸部X線にて嚢胞内に腫瘤を指摘された.CTでは右上葉の肺嚢胞内部に34×32mmの腫瘤を認め,PET-CTではSUV max 25の高い集積を認めたが,気管支鏡下生検ではClass Iであった.採血ではCEA,CYFRA,アスペルギルス抗原は陰性.腫瘤は増大傾向を呈しており,胸腔鏡下手術を施行した.強固な癒着を剥離し針生検を行うも壊死組織のみで診断に至らず,右肺上葉切除を施行した.迅速病理診断では肺癌の診断にて,縦隔リンパ節郭清を追加した.術後病理では扁平上皮癌,pT2aN0M0 pStage IBであった.肺嚢胞内に4カ月間と短期間で急速に発生した肺癌症例は稀であり,文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.76.709