肺がん患者に発症した急性出血性直腸潰瘍の1例

【目的】急性出血性直腸潰瘍は長期臥床の高齢者に多い疾患であるが, がん患者での報告は少ない. 今回, 対麻痺の肺がん患者に合併した急性出血性直腸潰瘍の1例を報告する. 【症例】40歳代の男性. 肺がんの脊髄浸潤により対麻痺を発症し, 緊急入院となった. 第25病日より無痛性の新鮮血下血が始まり, 出血量が増加した. その後, 下部消化管内視鏡検査を施行し, 下部直腸に潰瘍性病変と露出血管を認めた. 臨床症状と内視鏡所見より急性出血性直腸潰瘍と診断し, ただちにクリッピング術を行った. その後は下血の再燃を認めず, 第103病日に退院となった. 【結論】急性出血性直腸潰瘍は終末期がん患者でも治癒...

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Published inPalliative Care Research Vol. 6; no. 1; pp. 308 - 312
Main Authors 菊池, 大輔, 加登, 大介, 長谷川, 久巳, 宇留賀, 公紀, 岸, 一馬
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本緩和医療学会 2011
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ISSN1880-5302
DOI10.2512/jspm.6.308

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Summary:【目的】急性出血性直腸潰瘍は長期臥床の高齢者に多い疾患であるが, がん患者での報告は少ない. 今回, 対麻痺の肺がん患者に合併した急性出血性直腸潰瘍の1例を報告する. 【症例】40歳代の男性. 肺がんの脊髄浸潤により対麻痺を発症し, 緊急入院となった. 第25病日より無痛性の新鮮血下血が始まり, 出血量が増加した. その後, 下部消化管内視鏡検査を施行し, 下部直腸に潰瘍性病変と露出血管を認めた. 臨床症状と内視鏡所見より急性出血性直腸潰瘍と診断し, ただちにクリッピング術を行った. その後は下血の再燃を認めず, 第103病日に退院となった. 【結論】急性出血性直腸潰瘍は終末期がん患者でも治癒しうる病態であり, 症例によって迅速な診断と治療が必要である. Palliat Care Res 2011; 6(1): 308-312
ISSN:1880-5302
DOI:10.2512/jspm.6.308