結腸穿通,結腸狭窄を伴った重症急性膵炎の1例

症例は76歳,女性。腹痛を主訴に近医を受診し,精査にて重症急性膵炎と診断された。治療が開始されたものの循環動態が悪化し,当院救急搬送となった。予後因子5点,CT Grade2の重症急性膵炎であった。CTでは横行結腸間膜に腸管外ガスが広がっており,汎発性腹膜炎,DICを呈していたことから緊急手術を行った。横行結腸間膜には穿通による脂肪壊死の所見を認めたものの,横行結腸にはあきらかな壊死の所見を認めず,回腸人工肛門造設術,腹腔ドレナージ術を施行した。結腸瘻や結腸狭窄を認めたが,大腸切除を行わず保存的に軽快し,術後155日目に退院となった。手術から約1年経過した現在,結腸狭窄は改善し日常生活が可能で...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 34; no. 3; pp. 697 - 700
Main Authors 藤村, 隆, 高村, 博之, 宮下, 知治, 松井, 大輔, 伏田, 幸夫, 中川原, 寿俊, 北川, 裕久, 正司, 政寿, 二宮, 致, 田島, 秀浩, 中沼, 伸一, 林, 泰寛, 的場, 美紀, 寺川, 裕史, 牧野, 勇, 太田, 哲生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2014
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.34.697

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Summary:症例は76歳,女性。腹痛を主訴に近医を受診し,精査にて重症急性膵炎と診断された。治療が開始されたものの循環動態が悪化し,当院救急搬送となった。予後因子5点,CT Grade2の重症急性膵炎であった。CTでは横行結腸間膜に腸管外ガスが広がっており,汎発性腹膜炎,DICを呈していたことから緊急手術を行った。横行結腸間膜には穿通による脂肪壊死の所見を認めたものの,横行結腸にはあきらかな壊死の所見を認めず,回腸人工肛門造設術,腹腔ドレナージ術を施行した。結腸瘻や結腸狭窄を認めたが,大腸切除を行わず保存的に軽快し,術後155日目に退院となった。手術から約1年経過した現在,結腸狭窄は改善し日常生活が可能である。急性膵炎の大腸合併症はまれである。今回,結腸穿通,結腸狭窄を伴う重症急性膵炎の1例を経験したので報告する。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.34.697