鼠径ヘルニア嵌頓の緊急手術を契機に発見された腹膜中皮腫の1例
症例は75歳の男性で,腹痛・嘔吐を主訴に来院した.右鼠径ヘルニア嵌頓の診断で緊急手術を施行した.術中所見ではヘルニア嚢の肥厚,多発性の腹膜結節を認め,術後の病理検索にて悪性腹膜中皮腫と診断された.当初は本人が化学療法を拒否し経過観察の方針としたが,術後約5カ月頃より腹部膨満・倦怠感等の自覚症状が顕在化し,化学療法の同意が得られ,weekly paclitaxel療法を開始した.しかし,1クールの投与が終了した時点で本人より化学療法中止の希望があり,自宅療養へ移行した.その後急速に病状は悪化し,発症して約7カ月後に死亡した.右鼠径ヘルニア嵌頓に対する緊急手術を契機に悪性腹膜中皮腫が発見された稀有...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 81; no. 4; pp. 767 - 772 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2020
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.81.767 |
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Summary: | 症例は75歳の男性で,腹痛・嘔吐を主訴に来院した.右鼠径ヘルニア嵌頓の診断で緊急手術を施行した.術中所見ではヘルニア嚢の肥厚,多発性の腹膜結節を認め,術後の病理検索にて悪性腹膜中皮腫と診断された.当初は本人が化学療法を拒否し経過観察の方針としたが,術後約5カ月頃より腹部膨満・倦怠感等の自覚症状が顕在化し,化学療法の同意が得られ,weekly paclitaxel療法を開始した.しかし,1クールの投与が終了した時点で本人より化学療法中止の希望があり,自宅療養へ移行した.その後急速に病状は悪化し,発症して約7カ月後に死亡した.右鼠径ヘルニア嵌頓に対する緊急手術を契機に悪性腹膜中皮腫が発見された稀有な症例を経験したので報告する. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.81.767 |