閉鎖孔ヘルニア嵌頓術後大腿部膿瘍の1例

要旨:症例は80歳女性。1週間持続する便秘,嘔気を主訴に腸閉塞の診断で近医より紹介となった。骨盤部CTにて左閉鎖孔ヘルニア嵌頓による腸閉塞と診断し緊急手術を施行した。小腸がRichter型に嵌頓しており小腸部分切除を行った。ヘルニア嚢は炎症が高度のため翻転処理を行えずヘルニア門に子宮を縫着し手術を終了した。術後4日より発熱が持続し同9日左大腿部痛と同部位の皮下気種が出現しCTにて左閉鎖筋,恥骨筋から大腿にかけて膿瘍形成が認められた。同12日CTガイド下ドレナージ術を施行したところ膿瘍の縮小を認め約2ヵ月後後遺症なく退院となった。腸管の壊死・穿孔を伴う閉鎖孔ヘルニアでは術後大腿部膿瘍を合併するこ...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 33; no. 4; pp. 741 - 744
Main Authors 名久井, 実, 佐々木, 健二, 吉野, 泰啓, 佐藤, 純
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2013
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.33.741

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Summary:要旨:症例は80歳女性。1週間持続する便秘,嘔気を主訴に腸閉塞の診断で近医より紹介となった。骨盤部CTにて左閉鎖孔ヘルニア嵌頓による腸閉塞と診断し緊急手術を施行した。小腸がRichter型に嵌頓しており小腸部分切除を行った。ヘルニア嚢は炎症が高度のため翻転処理を行えずヘルニア門に子宮を縫着し手術を終了した。術後4日より発熱が持続し同9日左大腿部痛と同部位の皮下気種が出現しCTにて左閉鎖筋,恥骨筋から大腿にかけて膿瘍形成が認められた。同12日CTガイド下ドレナージ術を施行したところ膿瘍の縮小を認め約2ヵ月後後遺症なく退院となった。腸管の壊死・穿孔を伴う閉鎖孔ヘルニアでは術後大腿部膿瘍を合併することがまれにみられる。そのため大腿部の観察を怠らず慎重に術後管理を行うとともに,発症した場合はCTや超音波などの画像をガイドとして安全かつ速やかにドレナージをする必要がある。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.33.741