十二指腸と小腸に多発した腸管症型T細胞リンパ腫の1例

症例は69歳,男性.左側腹部痛を主訴に当院受診.腹部造影CTにて上部空腸の全周性の壁肥厚と造影不良を認め,虚血性腸炎の疑いで入院.保存的治療を行うも,CTにて空腸の壁肥厚と虚血性変化が増強,リンパ節腫大も認めた.上部消化管内視鏡にて,十二指腸上行部に潰瘍性病変,空腸起始部に全周性の潰瘍を認めた.生検にて小型単核球様異型リンパ球がびまん性に浸潤,免疫染色でCD3+,CD8+,CD20-,CD56+で,腸管症型T細胞リンパ腫II型と診断.腸管穿孔のリスクを考慮し,化学療法に先行して手術を施行した.Treitz靱帯近傍の空腸に漿膜まで浸潤する腫瘍を認め,さらに肛門側の空腸に浸潤し一塊となっており,十...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 76; no. 4; pp. 774 - 779
Main Authors 富家, 由美, 高瀬, 恒信, 丸山, 浩高, 柴田, 有宏, 矢口, 豊久, 野村, 尚弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2015
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.76.774

Cover

More Information
Summary:症例は69歳,男性.左側腹部痛を主訴に当院受診.腹部造影CTにて上部空腸の全周性の壁肥厚と造影不良を認め,虚血性腸炎の疑いで入院.保存的治療を行うも,CTにて空腸の壁肥厚と虚血性変化が増強,リンパ節腫大も認めた.上部消化管内視鏡にて,十二指腸上行部に潰瘍性病変,空腸起始部に全周性の潰瘍を認めた.生検にて小型単核球様異型リンパ球がびまん性に浸潤,免疫染色でCD3+,CD8+,CD20-,CD56+で,腸管症型T細胞リンパ腫II型と診断.腸管穿孔のリスクを考慮し,化学療法に先行して手術を施行した.Treitz靱帯近傍の空腸に漿膜まで浸潤する腫瘍を認め,さらに肛門側の空腸に浸潤し一塊となっており,十二指腸水平脚から空腸までを切除した.残存小腸にも回腸末端まで多発する腫瘤を触知した.術後はTHP-COP療法を施行したが,術後3カ月で死亡した.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.76.774