Ladd手術を行い30年に及ぶ食思不振が改善した腸回転異常の1例

われわれは,30年間神経性食思不振症と診断されていた成人腸回転異常症の女性が,絞扼性腸閉塞を発症し,緊急手術施行後に腹部症状,栄養状態が改善した症例を経験した.症例は48歳,女性.思春期から食思不振,腹部膨満,便秘等の腹部症状を認め,病悩期中に神経性食思不振症と診断されていた.今回,慢性的な腹痛が増悪し,入院加療を受けていた近医より当院へ転院となり絞扼性腸閉塞の診断で緊急手術を行った.開腹すると,回腸から上行結腸までの軸捻転による捻転した腸管の虚血壊死および回腸の穿孔を認め,回盲部切除術を行った.さらに,Ladd靱帯による十二指腸狭窄を認めたため,Ladd靱帯を切離し,十二指腸狭窄を解除した....

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 81; no. 2; pp. 271 - 276
Main Authors 愛甲, 聡, 安藤, 知史, 岡, 泰州, 半田, 寛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2020
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.81.271

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Summary:われわれは,30年間神経性食思不振症と診断されていた成人腸回転異常症の女性が,絞扼性腸閉塞を発症し,緊急手術施行後に腹部症状,栄養状態が改善した症例を経験した.症例は48歳,女性.思春期から食思不振,腹部膨満,便秘等の腹部症状を認め,病悩期中に神経性食思不振症と診断されていた.今回,慢性的な腹痛が増悪し,入院加療を受けていた近医より当院へ転院となり絞扼性腸閉塞の診断で緊急手術を行った.開腹すると,回腸から上行結腸までの軸捻転による捻転した腸管の虚血壊死および回腸の穿孔を認め,回盲部切除術を行った.さらに,Ladd靱帯による十二指腸狭窄を認めたため,Ladd靱帯を切離し,十二指腸狭窄を解除した.術後18カ月経過しており,栄養状態の改善および体重増加を認めている.本症例は,思春期より神経性食思不振症と診断されていたが,実際は腸回転異常症に起因する食思不振症であった稀な症例であると考えられる.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.81.271