上行結腸癌を伴ったpseudo-Meigs症候群を呈する卵巣甲状腺腫の1例

症例は85歳,女性.市民検診で便潜血反応陽性を指摘され,消化管の精査を行ったところ上行結腸癌を指摘された.術前精査で左卵巣腫瘍と胸腹水の貯留を指摘され,腹水細胞診を施行したがClass IIであった.腹腔穿刺にて連日排液を行ったが,腹水は難治性であった.臨床所見からは癌性腹膜炎が疑われたが,上行結腸癌にpseudo-Meigs症候群を合併した可能性も疑い,回盲部切除(D3郭清)および左付属器切除を施行した.病理組織検査で,上行結腸癌は高分化型腺癌,卵巣腫瘍は卵巣甲状腺腫と診断された.術後に胸腹水は消失し,上行結腸癌にpseudo-Meigs症候群を呈する卵巣甲状腺腫が合併していたと診断した.消...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 75; no. 2; pp. 563 - 568
Main Authors 山本, 真司, 楠山, 明, 宇野, 耕平, 矢永, 勝彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2014
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.75.563

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Summary:症例は85歳,女性.市民検診で便潜血反応陽性を指摘され,消化管の精査を行ったところ上行結腸癌を指摘された.術前精査で左卵巣腫瘍と胸腹水の貯留を指摘され,腹水細胞診を施行したがClass IIであった.腹腔穿刺にて連日排液を行ったが,腹水は難治性であった.臨床所見からは癌性腹膜炎が疑われたが,上行結腸癌にpseudo-Meigs症候群を合併した可能性も疑い,回盲部切除(D3郭清)および左付属器切除を施行した.病理組織検査で,上行結腸癌は高分化型腺癌,卵巣腫瘍は卵巣甲状腺腫と診断された.術後に胸腹水は消失し,上行結腸癌にpseudo-Meigs症候群を呈する卵巣甲状腺腫が合併していたと診断した.消化管腫瘍にpseudo-Meigs症候群を呈する卵巣甲状腺腫を合併することは非常に稀なため,若干の文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.75.563