急性虫垂炎を契機に診断された腸重積を伴う盲腸癌の1例

症例は53歳男性。腹痛と発熱を主訴に当院救急外来を受診した。右下腹部に圧痛を認め,CTで虫垂の腫大,腹水,高度の腸管浮腫,腸重積を認めた。急性虫垂炎の診断で手術の方針となったが,回盲部に腫瘍が併存している可能性を考え開腹手術で回盲部切除(D3郭清)を行った。術後病理組織診断は盲腸癌(T4a,N0,M0,Stage Ⅱ)であった。虫垂炎は悪性腫瘍が原因となることがあるとの報告がある。一方,成人の腸重積は悪性腫瘍によるものが多いといわれている。本症例は術前の画像検査でいずれの所見も認めたことから,悪性腫瘍に伴う虫垂炎の可能性を考慮し,回盲部切除を行った。腸重積を伴う急性虫垂炎症例においては,虫垂炎...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 38; no. 5; pp. 941 - 943
Main Authors 山田, 大輔, 山本, 澄治, 宇高, 徹総, 松本, 尚也, 久保, 雅俊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.07.2018
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.38.941

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Summary:症例は53歳男性。腹痛と発熱を主訴に当院救急外来を受診した。右下腹部に圧痛を認め,CTで虫垂の腫大,腹水,高度の腸管浮腫,腸重積を認めた。急性虫垂炎の診断で手術の方針となったが,回盲部に腫瘍が併存している可能性を考え開腹手術で回盲部切除(D3郭清)を行った。術後病理組織診断は盲腸癌(T4a,N0,M0,Stage Ⅱ)であった。虫垂炎は悪性腫瘍が原因となることがあるとの報告がある。一方,成人の腸重積は悪性腫瘍によるものが多いといわれている。本症例は術前の画像検査でいずれの所見も認めたことから,悪性腫瘍に伴う虫垂炎の可能性を考慮し,回盲部切除を行った。腸重積を伴う急性虫垂炎症例においては,虫垂炎の原因の1つとして悪性腫瘍も念頭に置くべきである。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.38.941