鼠径ヘルニア術後のメッシュを含み腸管膀胱瘻を形成した虫垂粘液嚢腫の1例

症例は76歳,女性.4年前より腸管膀胱瘻を指摘されていた.右鼠径ヘルニア術後であり,また腹部CT検査で右下腹部に腫瘤を認めることから,メッシュによる異物肉芽腫あるいは虫垂腫瘍との関連性を疑った.腫瘍マーカー(CEA,CA19-9)の上昇は認めなかった.開腹時,右下腹部には虫垂原発腫瘍と考えられる腫瘤が認められ,メッシュを巻き込んでいた.さらに虫垂腫瘍は膀胱に浸潤し,腸管膀胱瘻を形成していた.回盲部を含めた腫瘍摘出術,膀胱合併部分切除を施行し,同時にメッシュも除去した.病理組織学的には虫垂腫瘍はlow-grade appendiceal mucinous neoplasmsであった.虫垂粘液嚢腫...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 75; no. 3; pp. 711 - 715
Main Authors 田原, 浩, 前田, 佳之, 長谷, 諭, 布袋, 裕士, 河毛, 利顕, 佐々木, なおみ
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2014
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.75.711

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Summary:症例は76歳,女性.4年前より腸管膀胱瘻を指摘されていた.右鼠径ヘルニア術後であり,また腹部CT検査で右下腹部に腫瘤を認めることから,メッシュによる異物肉芽腫あるいは虫垂腫瘍との関連性を疑った.腫瘍マーカー(CEA,CA19-9)の上昇は認めなかった.開腹時,右下腹部には虫垂原発腫瘍と考えられる腫瘤が認められ,メッシュを巻き込んでいた.さらに虫垂腫瘍は膀胱に浸潤し,腸管膀胱瘻を形成していた.回盲部を含めた腫瘍摘出術,膀胱合併部分切除を施行し,同時にメッシュも除去した.病理組織学的には虫垂腫瘍はlow-grade appendiceal mucinous neoplasmsであった.虫垂粘液嚢腫は比較的稀な疾患であるが,その中でも他臓器と瘻孔を形成した症例は極めて少ない.今回,鼠径ヘルニア術後のメッシュを含み腸管膀胱瘻を形成した虫垂粘液嚢腫の1例を経験したので,若干の考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.75.711