早期胃癌の手術待機中にVirchow転移,播種性骨髄癌症を認め急激な転帰をとった1例

症例は76歳,男性.胃体下部大彎に0-IIc病変を認め,生検の結果は印環細胞癌であった.超音波内視鏡検査では多くは粘膜内病変であり,一部に粘膜下層への浸潤を認めた.腹部CT検査ではリンパ節転移および遠隔転移は認めなかった.早期胃癌(cT1bN0M0 Stage I A)に対して手術を予定していたが,初診日の約2週間後から腰痛が出現し,骨シンチグラフィーにて多発性骨転移を認めた.左鎖骨上リンパ節が10mm大に腫大しており,リンパ節生検の結果は印環細胞癌であった.免疫染色では,左鎖骨上リンパ節および胃病変ともにCytokeratin7(+),Cytokeratin20(+),napsin(-)であ...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 73; no. 3; pp. 574 - 580
Main Authors 藤谷, 和正, 辻仲, 利政, 池永, 雅一, 後藤, 裕信, 平尾, 素宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2012
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.73.574

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Summary:症例は76歳,男性.胃体下部大彎に0-IIc病変を認め,生検の結果は印環細胞癌であった.超音波内視鏡検査では多くは粘膜内病変であり,一部に粘膜下層への浸潤を認めた.腹部CT検査ではリンパ節転移および遠隔転移は認めなかった.早期胃癌(cT1bN0M0 Stage I A)に対して手術を予定していたが,初診日の約2週間後から腰痛が出現し,骨シンチグラフィーにて多発性骨転移を認めた.左鎖骨上リンパ節が10mm大に腫大しており,リンパ節生検の結果は印環細胞癌であった.免疫染色では,左鎖骨上リンパ節および胃病変ともにCytokeratin7(+),Cytokeratin20(+),napsin(-)であり,胃癌のVirchow転移と診断した.その後,播種性骨髄癌症からのDICを併発したが,緩和医療を選択され,初診後60日目に永眠された.早期胃癌にVirchow転移と播種性骨髄癌症が同時性に認められた本症例は極めて稀であると考えられ,文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.73.574