S状結腸癌による髄膜癌腫症の1例

症例は26歳,女性.S状結腸癌のため2009年7月,S状結腸切除を施行したのち,化学療法中であったが,手術から16カ月後に肺転移および右卵巣転移・腹水貯留が出現した.症状緩和目的に右卵巣腫瘍摘出したが,その2カ月後,突然一過性の視野欠損や構音障害・日々変化する上下肢の疼痛などの神経症状が出現した.頭蓋内圧亢進症状および髄膜刺激症状は認めず,gadopentetate dimeglumine造影MRI(以下Gd-MRI)では脳表・軟膜に沿ったびまん性の異常増強効果を認めた.髄膜癌腫症と診断し,dexamethasoneおよびcapecitabineを投与したところ,神経症状は消失した.その後患者...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 74; no. 1; pp. 124 - 128
Main Authors 那須, 亨, 山本, 基, 小林, 康人, 寺澤, 宏, 水本, 有紀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2013
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.74.124

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Summary:症例は26歳,女性.S状結腸癌のため2009年7月,S状結腸切除を施行したのち,化学療法中であったが,手術から16カ月後に肺転移および右卵巣転移・腹水貯留が出現した.症状緩和目的に右卵巣腫瘍摘出したが,その2カ月後,突然一過性の視野欠損や構音障害・日々変化する上下肢の疼痛などの神経症状が出現した.頭蓋内圧亢進症状および髄膜刺激症状は認めず,gadopentetate dimeglumine造影MRI(以下Gd-MRI)では脳表・軟膜に沿ったびまん性の異常増強効果を認めた.髄膜癌腫症と診断し,dexamethasoneおよびcapecitabineを投与したところ,神経症状は消失した.その後患者は3カ月症状の再燃なく生存した.大腸癌による髄膜癌腫症はまれであり,文献的考察を加えて報告した.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.74.124