膿瘍形成を伴ったAmyand’s herniaの1例

症例は83歳男性。右鼠径部の腫大と同部位の疼痛を主訴に当院救急外来を受診。右鼠径から陰囊にかけて手拳大の腫脹と発赤を認めた。CTで右鼠径ヘルニア嵌頓を認め,腸管虚血も示唆されたため緊急手術を施行した。ヘルニア囊内には盲腸から虫垂が脱出し,さらに陰囊内で膿瘍形成が認められた。鼠径法に加え陰囊に縦切開を追加し膿瘍を被膜ごと摘出,盲腸切除を行い,その後ヘルニア根治術を行った。臨床経過は不明であるが盲腸のヘルニア陥頓に虫垂炎を併発しヘルニア囊内で穿孔,膿瘍形成したと考えられる。経過は順調であり術後8日目に退院となった。ヘルニア囊内に虫垂が逸脱するAmyand’s herniaは散見されるが,本症例のよ...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 38; no. 5; pp. 861 - 864
Main Authors 河合, 雅彦, 國枝, 克行, 篠田, 智仁, 長尾, 成敏, 仁田, 豊生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.07.2018
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.38.861

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Summary:症例は83歳男性。右鼠径部の腫大と同部位の疼痛を主訴に当院救急外来を受診。右鼠径から陰囊にかけて手拳大の腫脹と発赤を認めた。CTで右鼠径ヘルニア嵌頓を認め,腸管虚血も示唆されたため緊急手術を施行した。ヘルニア囊内には盲腸から虫垂が脱出し,さらに陰囊内で膿瘍形成が認められた。鼠径法に加え陰囊に縦切開を追加し膿瘍を被膜ごと摘出,盲腸切除を行い,その後ヘルニア根治術を行った。臨床経過は不明であるが盲腸のヘルニア陥頓に虫垂炎を併発しヘルニア囊内で穿孔,膿瘍形成したと考えられる。経過は順調であり術後8日目に退院となった。ヘルニア囊内に虫垂が逸脱するAmyand’s herniaは散見されるが,本症例のようにヘルニア囊内で虫垂炎さらには膿瘍形成を起こす症例はまれであるため若干の文献考察を含め報告する。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.38.861