肝膿瘍破裂による汎発性腹膜炎に対して腹腔鏡を用いたダメージコントロールドレナージを行った1例
〔要旨〕症例は既往に糖尿病がある79歳の男性。持続する発熱と腹痛を主訴に堺市立総合医療センターを受診した。腹部造 影CT検査で肝外側区の辺縁に早期濃染を伴う多房性の腫瘤を認め,肝膿瘍穿孔に伴う汎発性腹膜炎と診断し緊急腹腔鏡下洗浄ドレナージを行った。術後は抗菌薬にて治療を行い,残存肝膿瘍に対して経皮経肝的にドレナージを行った。経過は良好で合併症なく退院した。肝膿瘍の穿孔は死亡率が高く緊急の治療を要する。腹腔鏡手術は低侵襲だが腹腔内圧の上昇が菌血症のリスクとなるとの報告がある。肝膿瘍による汎発性腹膜炎においては初回手術では気腹時間を最小限に抑えた腹腔鏡下のダメージコントール手術を行い,生体侵襲を最...
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| Published in | Japanese Journal of Acute Care Surgery Vol. 10; no. 1; pp. 69 - 72 |
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| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本Acute Care Surgery 学会
27.02.2021
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| Subjects | |
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| ISSN | 2436-102X |
| DOI | 10.50840/jjacs.10.1_69 |
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| Summary: | 〔要旨〕症例は既往に糖尿病がある79歳の男性。持続する発熱と腹痛を主訴に堺市立総合医療センターを受診した。腹部造 影CT検査で肝外側区の辺縁に早期濃染を伴う多房性の腫瘤を認め,肝膿瘍穿孔に伴う汎発性腹膜炎と診断し緊急腹腔鏡下洗浄ドレナージを行った。術後は抗菌薬にて治療を行い,残存肝膿瘍に対して経皮経肝的にドレナージを行った。経過は良好で合併症なく退院した。肝膿瘍の穿孔は死亡率が高く緊急の治療を要する。腹腔鏡手術は低侵襲だが腹腔内圧の上昇が菌血症のリスクとなるとの報告がある。肝膿瘍による汎発性腹膜炎においては初回手術では気腹時間を最小限に抑えた腹腔鏡下のダメージコントール手術を行い,生体侵襲を最小限に抑えることにより良好な転帰を得る可能性があると思われた。 |
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| ISSN: | 2436-102X |
| DOI: | 10.50840/jjacs.10.1_69 |