腸閉塞を契機に診断した空腸異所性膵癌の1例
症例は66歳の女性で,10年前に後腹膜腫瘍に対して正中切開で摘出術を施行されている.嘔吐を主訴に当院を受診した.腹部CT検査で拡張した小腸と,骨盤内正中の小腸に造影効果を伴う壁肥厚を認め,腸閉塞と診断し胃管留置による保存的治療を施行した.胃管抜去すると,再び嘔吐が認められ,癒着性イレウスを疑い原因診断と治療目的に手術を施行した.手術所見ではTreitz靱帯より80cm肛門側の空腸に20mm大の漿膜面は白色調を呈する全周性の腫瘍を認め,漿膜浸潤を伴う小腸癌を疑い小腸部分切除術を施行した.病理診断では,小腸粘膜下層~固有筋層内のHeinrich II型の空腸異所性膵組織から発生した膵癌の所見であっ...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 77; no. 1; pp. 185 - 189 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2016
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.77.185 |
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Summary: | 症例は66歳の女性で,10年前に後腹膜腫瘍に対して正中切開で摘出術を施行されている.嘔吐を主訴に当院を受診した.腹部CT検査で拡張した小腸と,骨盤内正中の小腸に造影効果を伴う壁肥厚を認め,腸閉塞と診断し胃管留置による保存的治療を施行した.胃管抜去すると,再び嘔吐が認められ,癒着性イレウスを疑い原因診断と治療目的に手術を施行した.手術所見ではTreitz靱帯より80cm肛門側の空腸に20mm大の漿膜面は白色調を呈する全周性の腫瘍を認め,漿膜浸潤を伴う小腸癌を疑い小腸部分切除術を施行した.病理診断では,小腸粘膜下層~固有筋層内のHeinrich II型の空腸異所性膵組織から発生した膵癌の所見であった.空腸に発生した異所性膵癌の報告は非常に稀であり,文献的考察を加えて報告する. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.77.185 |