潰瘍性大腸炎に合併した回腸癌の1例

潰瘍性大腸炎(以下,UC)に合併した回腸癌の1例を経験したので報告する.症例は42歳,男性.18年前からUCに対して内科治療を受けていたが途中で治療を自己中断していた.突然の強い腹痛を主訴に当院救急受診.臍周囲を中心に筋性防御を認め消化管穿孔による腹膜炎の診断で緊急開腹術を施行した.術中回盲部より20cm口側に5cm大の小腸腫瘤と穿孔を認めたため,小腸切除術および回腸人工肛門造設術を行った.摘出標本の病理組織検査で回腸粘膜表層の炎症所見と腺癌を認めた.術後に行われた大腸内視鏡検査では全結腸型のUCを認めた. 潰瘍性大腸炎に合併した回腸癌の報告はほとんどないが,全結腸型のUCでは回盲弁の機能不全...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 75; no. 2; pp. 479 - 483
Main Authors 中田, 浩二, 古西, 英央, 川村, 雅彦, 黒田, 徹, 吉田, 和彦, 矢永, 勝彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2014
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.75.479

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Summary:潰瘍性大腸炎(以下,UC)に合併した回腸癌の1例を経験したので報告する.症例は42歳,男性.18年前からUCに対して内科治療を受けていたが途中で治療を自己中断していた.突然の強い腹痛を主訴に当院救急受診.臍周囲を中心に筋性防御を認め消化管穿孔による腹膜炎の診断で緊急開腹術を施行した.術中回盲部より20cm口側に5cm大の小腸腫瘤と穿孔を認めたため,小腸切除術および回腸人工肛門造設術を行った.摘出標本の病理組織検査で回腸粘膜表層の炎症所見と腺癌を認めた.術後に行われた大腸内視鏡検査では全結腸型のUCを認めた. 潰瘍性大腸炎に合併した回腸癌の報告はほとんどないが,全結腸型のUCでは回盲弁の機能不全により慢性の回腸炎“backwash ileitis”が生じることが知られている.このため,長期罹患のUC患者では大腸だけでなく回腸病変の可能性も念頭に置いた詳細なフォローアップが必要であると考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.75.479