門脈合併膵頭十二指腸切除術で切除した最大径11cmの進行十二指腸癌の1例
症例は 61歳,男性.食思不振・体重減少を主訴に当院を受診した.上部消化管内視鏡検査で十二指腸球部に3型病変を認め,生検の結果はadenocarcinomaであった.腹部CT・MRI検査では,十二指腸・膵頭部に最大径約11cmの巨大な腫瘤像を認めた.膵・門脈浸潤をきたした進行十二指腸癌の診断で手術を施行した.開腹時所見では,腫瘤は膵頭部と一塊になって門脈と強固に癒着していたが,門脈合併切除を伴う膵頭十二指腸切除術で切除しえた.病理組織学的診断は乳頭腺癌で門脈浸潤陽性であった.術後に下痢を中心とする消化器症状が続いたことと十二指腸癌に対する化学療法は確立していないことから,術後補助化学療法は行わ...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 74; no. 2; pp. 400 - 404 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2013
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.74.400 |
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Summary: | 症例は 61歳,男性.食思不振・体重減少を主訴に当院を受診した.上部消化管内視鏡検査で十二指腸球部に3型病変を認め,生検の結果はadenocarcinomaであった.腹部CT・MRI検査では,十二指腸・膵頭部に最大径約11cmの巨大な腫瘤像を認めた.膵・門脈浸潤をきたした進行十二指腸癌の診断で手術を施行した.開腹時所見では,腫瘤は膵頭部と一塊になって門脈と強固に癒着していたが,門脈合併切除を伴う膵頭十二指腸切除術で切除しえた.病理組織学的診断は乳頭腺癌で門脈浸潤陽性であった.術後に下痢を中心とする消化器症状が続いたことと十二指腸癌に対する化学療法は確立していないことから,術後補助化学療法は行わずに経過観察することとなった.術後2年2カ月が経過したが再発を認めていない.十二指腸癌の治療成績の向上のためには高度の進行癌であっても,可能な限り積極的な切除を目指す必要があるものと考える. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.74.400 |