脾臓原発組織球肉腫の1例

症例は74歳,女性.1カ月間遷延する全身倦怠感を主訴に近医を受診し,著明な血小板数の減少と,腹部超音波検査で脾腫および多発脾腫瘍を指摘されたため,精査加療目的で当院へ紹介された.著明な血小板減少(1.4万/μl)を伴う汎血球減少が認められた.腹部造影CT検査および腹部MRI検査で,脾腫および脾内に様々な造影パターンを呈する多発腫瘤が認められた.臨床的には悪性と判断し,確定診断および治療目的に開腹下脾臓摘出術を施行した.病理組織学的に大型の多核あるいは多形性の異形細胞がびまん性に増殖しており,免疫組織学的にはCD68・CD163が陽性,CD1a・langerin・CD34が陰性であったことより,...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 80; no. 5; pp. 990 - 994
Main Authors 石原, 敦, 濱野, 玄弥, 久保, 正二, 江田, 将樹, 桑江, 優子, 田中, 肖吾, 竹村, 茂一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2019
Subjects
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.80.990

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Summary:症例は74歳,女性.1カ月間遷延する全身倦怠感を主訴に近医を受診し,著明な血小板数の減少と,腹部超音波検査で脾腫および多発脾腫瘍を指摘されたため,精査加療目的で当院へ紹介された.著明な血小板減少(1.4万/μl)を伴う汎血球減少が認められた.腹部造影CT検査および腹部MRI検査で,脾腫および脾内に様々な造影パターンを呈する多発腫瘤が認められた.臨床的には悪性と判断し,確定診断および治療目的に開腹下脾臓摘出術を施行した.病理組織学的に大型の多核あるいは多形性の異形細胞がびまん性に増殖しており,免疫組織学的にはCD68・CD163が陽性,CD1a・langerin・CD34が陰性であったことより,脾臓原発組織球肉腫と診断した.術後に血小板数は速やかに回復したが,術23日後より再び減少し,再発が疑われた.精査を行うも診断には至らずBest supportive careの方針となり,術4カ月後に死亡した.脾臓原発組織球肉腫の報告は極めて稀であり,文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.80.990