灌流心におけるロイコトリエン産生に関する研究
ラット灌流心を用いて心臓のロイコトリエン (LT) 産生およびその産生細胞について検討を試みた. 灌流心にカルシウムイオノフォアA23187を投与すると, LTB, およびLTC, の産生が著明に増加し, 10分後に最大となった. 30分間に産生された総LT量は, LTB, では39.1±8.0・LTC4では143.5±18.4ng/g・heartであった. A23187刺激により産生されたLTは灌流液中のカルシウムに依存していること, および5-リポキシゲナーゼの選択的阻害剤AA861の投与により有意に抑制されたことから, 細胞外からのカルシウムの流入が5-リポキシゲナーゼ経路を活性化し,...
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Published in | 順天堂医学 Vol. 37; no. 3; pp. 448 - 455 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
順天堂医学会
1991
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Subjects | |
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ISSN | 0022-6769 2188-2134 |
DOI | 10.14789/pjmj.37.448 |
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Summary: | ラット灌流心を用いて心臓のロイコトリエン (LT) 産生およびその産生細胞について検討を試みた. 灌流心にカルシウムイオノフォアA23187を投与すると, LTB, およびLTC, の産生が著明に増加し, 10分後に最大となった. 30分間に産生された総LT量は, LTB, では39.1±8.0・LTC4では143.5±18.4ng/g・heartであった. A23187刺激により産生されたLTは灌流液中のカルシウムに依存していること, および5-リポキシゲナーゼの選択的阻害剤AA861の投与により有意に抑制されたことから, 細胞外からのカルシウムの流入が5-リポキシゲナーゼ経路を活性化し, LT産生をひきおこすことが示唆された. またカフェイン投与およびカルシウムパラドックスによるカルシウム過負荷では, LTは産生されなかったことから, 心筋細胞はLT産生にあまり関与していないことが示唆された. 一方, 心組織内の小血管周囲には肥満細胞が観察され, 肥満細胞阻害剤のクロモリンがLT産生を有意に抑制したことから, LT産生に肥満細胞が関与していることが考えられた. |
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ISSN: | 0022-6769 2188-2134 |
DOI: | 10.14789/pjmj.37.448 |