小児の電解質異常研究と臨床, 38年の歩み

昭和34年, 東大小児科に入局し, 小児科医となって以来38年が経過したが, その間一貫して小児の電解質異常の研究と臨床にたずさわってきた. 様々な症例とめぐりあい, またいろいろな研究を行ってきたが, そのなかからとくに印象に残っている5つのトピックスを選び紹介した. (1) 高張性脱水症とその輸液療法, (2) コレラの輸液療法, (3) Bartter症候群, 本邦第一例の報告, (4) 先天性クロール下痢症, 本邦第一例の報告, (5) 溶血性尿毒症症候群 (HUS症候群) である. (1) と (2) は電解質異常の治療としての輸液療法に関するトピックスである. (1) では小児脱水...

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Published in順天堂医学 Vol. 43; no. 2; pp. 193 - 207
Main Author 藪田, 敬次郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 順天堂医学会 1997
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ISSN0022-6769
2188-2134
DOI10.14789/pjmj.43.193

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Summary:昭和34年, 東大小児科に入局し, 小児科医となって以来38年が経過したが, その間一貫して小児の電解質異常の研究と臨床にたずさわってきた. 様々な症例とめぐりあい, またいろいろな研究を行ってきたが, そのなかからとくに印象に残っている5つのトピックスを選び紹介した. (1) 高張性脱水症とその輸液療法, (2) コレラの輸液療法, (3) Bartter症候群, 本邦第一例の報告, (4) 先天性クロール下痢症, 本邦第一例の報告, (5) 溶血性尿毒症症候群 (HUS症候群) である. (1) と (2) は電解質異常の治療としての輸液療法に関するトピックスである. (1) では小児脱水症の標準的な輸液方式として全国に広く普及している東大小児科方式について述べた. (2) ではフィリッピン・マニラでのコレラの輸液の経験について述べた. (3) (4) はそれぞれ本邦第一例として報告した症例を中心に, その症候群, 疾患の病態生理と診断について述べた. 2疾患とも最近その責任遺伝子が発見されたので診断が容易となった. (5) は昨年大流行したO-157などによる溶血性尿毒症症候群について, 自験例を中心にその電解質異常の診断と治療の要点を述べた.
ISSN:0022-6769
2188-2134
DOI:10.14789/pjmj.43.193