加算平均心電図の再現性に関する検討
加算平均心電図による心室遅延電位検出の診断結果の再現性につき検討した. まず本邦で使用頻度の高いVCM-3000とART1200EPXを用い, 機器による差の有無を検討した. 健常成人50例を対象に記録間隔10分間で時間解析法 (TDM) を行い, 2記録間の自動診断一致率を比較したところ, 前者で80%・後者で92%であり, 後者のほうが再現性に優れていた. このART1200EPXを用い健常者20例において, 10分後ならびに1週間後の再現性をTDM, および周波数解析法 (FFT) で検討した. 両法とも個々のパラメーターの値は記録毎に変動したが, 心室遅延電位の診断一致率は, TDMで...
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Published in | 順天堂医学 Vol. 41; no. 4; pp. 455 - 465 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
順天堂医学会
1996
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Subjects | |
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ISSN | 0022-6769 2188-2134 |
DOI | 10.14789/pjmj.41.455 |
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Summary: | 加算平均心電図による心室遅延電位検出の診断結果の再現性につき検討した. まず本邦で使用頻度の高いVCM-3000とART1200EPXを用い, 機器による差の有無を検討した. 健常成人50例を対象に記録間隔10分間で時間解析法 (TDM) を行い, 2記録間の自動診断一致率を比較したところ, 前者で80%・後者で92%であり, 後者のほうが再現性に優れていた. このART1200EPXを用い健常者20例において, 10分後ならびに1週間後の再現性をTDM, および周波数解析法 (FFT) で検討した. 両法とも個々のパラメーターの値は記録毎に変動したが, 心室遅延電位の診断一致率は, TDMでは10分間および1週間の記録間隔ともに90%, FFTでは両間隔ともに100%と, 両法とも良好な再現性を示した. 以上の成績をふまえ, 健常者50例および心筋梗塞症例42例を対象に記録間隔10分間で同様の検討を行った. 健常群の診断一致率はTDMで92%・FFTで100%であり, 心筋梗塞群ではTDMで93%・FFTで90%と両法ともに良好な再現性を示した. 以上のように, 加算平均心電図によって測定した各パラメーターの値は記録毎に変動を示すが, 最終的な診断結果は両法ともに虚血性心疾患の有無にかかわらず良好な再現性を示した. |
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ISSN: | 0022-6769 2188-2134 |
DOI: | 10.14789/pjmj.41.455 |