小腸間膜内に膿瘍を形成した十二指腸異物に伴う十二指腸水平脚穿通の1例

症例は43歳,女性.精神発達遅滞で施設入所中.食欲不振,嘔吐を主訴に受診.CT検査で胃内に異物を認め入院.上部消化管内視鏡で胃内,十二指腸内に異物が確認できたがサイズが大きく摘出困難.最終的に十二指腸内の異物は自然排出されており,経過観察となった.その後,CT検査で小腸間膜内に膿瘍形成を認め,緊急手術となった.小開腹で胃前壁を切開し胃内の異物を摘出.胃壁閉鎖後,腹腔内を観察したが明らかな異常は認めず.術中大腸内視鏡検査で回腸まで観察を行ったが,異常,異物は認めなかった.念のため,空腸起始部より20cm肛門側に切開を置き,内視鏡を用いて逆行性に十二指腸・胃内を観察すると,十二指腸水平脚に穿通部位...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 80; no. 5; pp. 913 - 920
Main Authors 村田, 一平, 鶴田, 好彦, 太田, 智之, 加納, 宣康, 北里, 憲司郎, 伊古田, 正憲
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2019
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.80.913

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Summary:症例は43歳,女性.精神発達遅滞で施設入所中.食欲不振,嘔吐を主訴に受診.CT検査で胃内に異物を認め入院.上部消化管内視鏡で胃内,十二指腸内に異物が確認できたがサイズが大きく摘出困難.最終的に十二指腸内の異物は自然排出されており,経過観察となった.その後,CT検査で小腸間膜内に膿瘍形成を認め,緊急手術となった.小開腹で胃前壁を切開し胃内の異物を摘出.胃壁閉鎖後,腹腔内を観察したが明らかな異常は認めず.術中大腸内視鏡検査で回腸まで観察を行ったが,異常,異物は認めなかった.念のため,空腸起始部より20cm肛門側に切開を置き,内視鏡を用いて逆行性に十二指腸・胃内を観察すると,十二指腸水平脚に穿通部位を認めた.Kocherの授動後右側結腸を脱転すると,十二指腸水平脚と間膜の付着部位に穿孔部位が確認できた.穿孔部位を縫合閉鎖し,大網で被覆し,減圧十二指腸瘻を留置した.術後経過は概ね良好で退院となった.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.80.913