19歳で発症し増大傾向を呈した乳腺偽血管腫様過形成の1例
20歳,女性.19歳時より左乳房腫瘤を自覚し,増大傾向を認めたため,精査加療目的に当科を受診した.左BD領域に9.5cm大の弾性軟の腫瘤を触知した.超音波検査では境界明瞭,内部均一の充実性腫瘤を認めた.一部スリット様を呈し,一見して線維腺腫や葉状腫瘍を疑う所見であったが,針生検では萎縮性乳腺組織のみの診断であった.MRIでは腫瘤はT2強調像にて低信号を呈し,造影効果は軽度不均一であり,線維腺腫や葉状腫瘍の典型像とは異なっていた.確定診断には至らなかったが,診断と治療を兼ねて腫瘤摘出術を施行した.病理組織学的には一部スリット状の間隙を呈する密な間質組織の増生と異型に乏しい乳腺組織から成るほぼ均一...
Saved in:
Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 81; no. 2; pp. 227 - 232 |
---|---|
Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2020
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.81.227 |
Cover
Summary: | 20歳,女性.19歳時より左乳房腫瘤を自覚し,増大傾向を認めたため,精査加療目的に当科を受診した.左BD領域に9.5cm大の弾性軟の腫瘤を触知した.超音波検査では境界明瞭,内部均一の充実性腫瘤を認めた.一部スリット様を呈し,一見して線維腺腫や葉状腫瘍を疑う所見であったが,針生検では萎縮性乳腺組織のみの診断であった.MRIでは腫瘤はT2強調像にて低信号を呈し,造影効果は軽度不均一であり,線維腺腫や葉状腫瘍の典型像とは異なっていた.確定診断には至らなかったが,診断と治療を兼ねて腫瘤摘出術を施行した.病理組織学的には一部スリット状の間隙を呈する密な間質組織の増生と異型に乏しい乳腺組織から成るほぼ均一な病変であった.間質細胞は免疫染色上,CD34・SMAに陽性,Factor VIII・p63に陰性を示し,乳腺偽血管腫様過形成と診断された.当科での経験を,考察を交えて報告する. |
---|---|
ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.81.227 |