鼠径部ヘルニア嵌頓における腸切除の必要性に関する検討

鼠径部ヘルニア嵌頓における腸切除の必要性に関する術前因子を検討した。【方法】鼠径部ヘルニア嵌頓37例を腸切除群10例と非切除群27例の2群に分け検討した。【結果】切除群と非切除群間に有意差を認めたのは年齢,発症から受診までの時間,血清CRP値,嵌頓した腸管内容のCT値(以下,腸管内容CT値)の4項目で,この4項目に関してロジスティック回帰分析を行った結果では,腸管内容CT値のみが有意な独立因子であった。腸管内容CT値のCut Off値は20HUで感度70%,特異度96%であった。鼠径ヘルニア嵌頓整復後に遅発性小腸狭窄をきたした1例を経験し,術前CTで嵌頓腸管内の背側部分に血液成分の沈殿像(CT...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 38; no. 6; pp. 983 - 988
Main Authors 奥田, 善大, 長沼, 達史, 瀬木, 祐樹, 川北, 航平, 河埜, 道夫, 近藤, 昭信, 田中, 穣, 西出, 喜弥, 中島, 紳太郞
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 30.09.2018
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.38.983

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Summary:鼠径部ヘルニア嵌頓における腸切除の必要性に関する術前因子を検討した。【方法】鼠径部ヘルニア嵌頓37例を腸切除群10例と非切除群27例の2群に分け検討した。【結果】切除群と非切除群間に有意差を認めたのは年齢,発症から受診までの時間,血清CRP値,嵌頓した腸管内容のCT値(以下,腸管内容CT値)の4項目で,この4項目に関してロジスティック回帰分析を行った結果では,腸管内容CT値のみが有意な独立因子であった。腸管内容CT値のCut Off値は20HUで感度70%,特異度96%であった。鼠径ヘルニア嵌頓整復後に遅発性小腸狭窄をきたした1例を経験し,術前CTで嵌頓腸管内の背側部分に血液成分の沈殿像(CT値28HU)を認めた。このような場合には背側の沈殿した部分でCT値測定を行うことが適切と考える。【結語】腸管内容CT値は腸管虚血の可逆性,用手整復の適応,腸切除の必要性を判定するうえで有用である。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.38.983