骨髄バンクドナーにおける幹細胞提供行動と心理・社会的要因の検討

骨髄バンクコーディネート終了時のアンケート調査より,幹細胞提供行動と,ドナーの心理社会的要因の関連を検討した。対象は健康理由または患者側の理由による終了例を除外したドナーとし,2017年4月~5月を調査期間として870人にアンケートを発送,385人より回答を得た(終了群315人,提供群70人)。ロジスティック回帰では,本人の協力度が非常に高いこと,不安が少ないこと,職場・家族の調整や説得が難しくないことが,幹細胞提供に至りやすい有意な要因であった。献血回数11回以上であることは,単変量解析にてオッズ比2.5を示した。雇用状態にあるドナーの検討では,年休のとりやすさが幹細胞提供に至りやすい有意な...

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Published in日本造血細胞移植学会雑誌 Vol. 8; no. 2; pp. 60 - 69
Main Authors 遠峰, 良美, 黒澤, 彩子, 吉内, 一浩, 公益財団法人日本骨髄バンク, 田島, 絹子, 福田, 隆浩
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本造血細胞移植学会 2019
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ISSN2186-5612
DOI10.7889/hct-18-015

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Summary:骨髄バンクコーディネート終了時のアンケート調査より,幹細胞提供行動と,ドナーの心理社会的要因の関連を検討した。対象は健康理由または患者側の理由による終了例を除外したドナーとし,2017年4月~5月を調査期間として870人にアンケートを発送,385人より回答を得た(終了群315人,提供群70人)。ロジスティック回帰では,本人の協力度が非常に高いこと,不安が少ないこと,職場・家族の調整や説得が難しくないことが,幹細胞提供に至りやすい有意な要因であった。献血回数11回以上であることは,単変量解析にてオッズ比2.5を示した。雇用状態にあるドナーの検討では,年休のとりやすさが幹細胞提供に至りやすい有意な要因であった。終了群における提供できなかった理由は “仕事への影響” が43%,“家族の反対” 21%,“家庭生活への影響” 15%,“リスク・不安・怖さ” 11%であった。本調査から,幹細胞提供に関連する要因として,ドナー本人の協力度や職場・家庭生活の調整などが抽出された。今後,より詳細な大規模調査により,ドナーの心理社会的要因と,幹細胞提供行動の関連を検討し,具体的な施策につなげたい。
ISSN:2186-5612
DOI:10.7889/hct-18-015