造血幹細胞移植前処置におけるaprepitantの投与がtacrolimusの血中濃度に及ぼす影響

造血幹細胞移植の前処置では,催吐性リスクの高い抗癌薬が投与されるため,制吐薬としてaprepitantが積極的に使用される。移植前処置で投与されたaprepitantの影響下で,移植day −1よりtacrolimusが開始されるが,aprepitantはCYP3A4阻害作用を有することからCYP3A4で代謝されるtacrolimusの血中濃度への影響が懸念される。移植前処置にaprepitantが投与された患者群25名および非投与群32名に分類し,移植day 0からday 4における体重あたりのtacrolimusの血中濃度と投与量比〔C/D比(ng・kg/mL・mg)〕の推移を比較した。移...

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Published in日本造血細胞移植学会雑誌 Vol. 9; no. 1; pp. 32 - 39
Main Authors 五十嵐, 貴之, 北村, 正樹, 中込, 早苗, 中澤, 佑介, 原田, 大, 川久保, 孝, 安藤, 尚美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本造血細胞移植学会 2020
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ISSN2186-5612
DOI10.7889/hct-19-006

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Summary:造血幹細胞移植の前処置では,催吐性リスクの高い抗癌薬が投与されるため,制吐薬としてaprepitantが積極的に使用される。移植前処置で投与されたaprepitantの影響下で,移植day −1よりtacrolimusが開始されるが,aprepitantはCYP3A4阻害作用を有することからCYP3A4で代謝されるtacrolimusの血中濃度への影響が懸念される。移植前処置にaprepitantが投与された患者群25名および非投与群32名に分類し,移植day 0からday 4における体重あたりのtacrolimusの血中濃度と投与量比〔C/D比(ng・kg/mL・mg)〕の推移を比較した。移植day 0におけるtacrolimusのC/D比の平均値は,移植day −1にaprepitantの投与が終了した患者群および非投与群でそれぞれ553±161および414±138ng・kg/mL・mgであり,aprepitant投与患者で有意に高かった。tacrolimusに対するaprepitantの薬力学的影響は,aprepitantの投与終了後から1日間が特に顕著であるため,tacrolimusの血中濃度モニタリングによる評価が重要であると考えられた。
ISSN:2186-5612
DOI:10.7889/hct-19-006