小脳梗塞急性期の病態と治療 脳幹圧迫と水頭症発現について

「はじめに」梗塞に陥った脳組織は壊死となるだけでなく, 二次的に浮腫を発生させる, したがって梗塞巣が大きければ占拠性病変となり健常な周囲脳組織を圧迫してその機能を廃絶させるのみならず, 脳圧亢進により患者は致命的となる可能性がある. とりわけ, 後頭蓋窩のような狭いスペース内での梗塞にはこの傾向が強い. そのため, 広範囲な小脳梗塞には手術適応があるという事実は古くからよく知られている. 小脳梗塞の二次的病変としての浮腫がもたらす臨床症状の発現病変は単なる直接の脳幹圧迫よりも, 髄液流通路閉塞による水頭症のほうが重要である. すなわち, 水頭症を伴わない脳幹圧迫はないと考えられる. このこと...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 22; no. 2; pp. 79 - 83
Main Authors 赤木, 功人, 山田, 和雄, 前田, 泰孝, 安部倉, 信, 早川, 徹, 種子田, 護, 大槻, 秀夫, 木下, 章
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 31.03.1994
日本脳卒中の外科研究会
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ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs1987.22.2_79

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Summary:「はじめに」梗塞に陥った脳組織は壊死となるだけでなく, 二次的に浮腫を発生させる, したがって梗塞巣が大きければ占拠性病変となり健常な周囲脳組織を圧迫してその機能を廃絶させるのみならず, 脳圧亢進により患者は致命的となる可能性がある. とりわけ, 後頭蓋窩のような狭いスペース内での梗塞にはこの傾向が強い. そのため, 広範囲な小脳梗塞には手術適応があるという事実は古くからよく知られている. 小脳梗塞の二次的病変としての浮腫がもたらす臨床症状の発現病変は単なる直接の脳幹圧迫よりも, 髄液流通路閉塞による水頭症のほうが重要である. すなわち, 水頭症を伴わない脳幹圧迫はないと考えられる. このことは小脳梗塞の外科治療の適応を考えるとき, 極めて重要な問題であるが, 実際の臨床側での小脳梗塞がこの観点から検討を加えられたことはない.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs1987.22.2_79